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百三十二回、黙って払いました。妹に婚約者を譲れと言われたので、鍵束を置いて出ます

作者:灯月りた
最新エピソード掲載日:2026/10/11
「お姉様は金遣いが荒いから」——妹はそう言って、わたしの婚約者を取りました。父も母も頷きました。

十一年。わたしは月に一度、家の借金を返し続けていました。百三十二回。自分の名義で、自分の持参金で、誰にも言わずに。
家族はその出金を「長女の浪費」だと思っていたのです。

わかりました。では帳簿と鍵をお返しします。名義も一緒に。

三月後、オルグレン伯爵家は破綻しました。返済していたのがわたしだと、誰も知らなかったからです。

——けれど本当に恐ろしかったのは、そのあとでした。返済先の商会に足を運んだわたしに、若き会頭はこう言ったのです。
「その借用書、十一年前から一度も有効になっていません」と。

わたしが返し続けていた借金は、最初から存在しませんでした。
第一章:名義返上
お姉様は金遣いが荒いから
2026/09/10 23:00 (改)
百三十二回目
2026/09/11 23:00
締め
2026/09/13 23:00
鍵束
2026/09/14 23:00
残額
2026/09/16 23:00
ハルヴァ商会
2026/09/17 23:00
第二章:商会
三日
2026/09/19 23:00
自分の勘定
2026/09/20 23:00
手帖
2026/09/21 23:00
滞り
2026/09/22 23:00
三月
2026/09/23 23:00
確認を怠った男
2026/09/26 23:00
原本照会
2026/09/27 23:00
十一歳の筆跡
2026/09/29 23:00
第三章:返済
王都金融の目
2026/10/05 23:00
ミレーユの帳尻
2026/10/07 23:00
止めなかった人
2026/10/08 23:00
返す相手
2026/10/09 23:00
百三十三回目
2026/10/11 23:00
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