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締め
十一年は、三十三冊になる。
日記帳と仕訳帳と元帳を、年ごとに一組。それを十一。
背を揃えて積むと、卓の面から胸のあたりまで来た。
一番下が千百三年。一番上が去年だ。
今年の分は蔵に入っていない。まだ締めていないからだ。
紙の厚みで年がわかる。書くことの少ない年は薄い。
千百三年の冊だけ、指一本ぶん厚かった。
「お嬢様。残りをお持ちしました」
ハンナが胸の高さで抱えている。腕がわずかに震えていた。
「そこへ」
「埃は払っております」
「助かります」
「蔵の隅で、鼠が齧っておりました」
「どの年です」
「背に、千百七と」
受け取って開いた。齧られていたのは表紙だけだ。
中の頁はどれも残っている。
「使えます」
「よろしゅうございました」
「蔵に、まだ残っていませんか」
「これで全部でございます」
「棚の上のほうも」
「梯子をかけて見てまいりました」
卓の上を数えた。三十三。合っている。
「薪はいかがいたしましょう」
「半ばに」
「あと九日でございます」
「数えておいででしたか」
「厨房の者が数えております」
毎年そうらしい。
わたしは今年はじめて聞いた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この話は「積んだだけで誰も開かない紙の山」を部屋の真ん中に置いてみたくて書きました。




