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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

悪女は獄中で死んだ――芋剥きのエルサは帳簿と厨房で生き延びる

作者:mittu
最新エピソード掲載日:2026/08/09
悪女は死んだ。残った女は、死者の名前で芋を剥く。

処刑前夜、国家反逆罪で死刑を待つ悪女シシーリアの牢へ、彼女と年格好の近い少女の遺体が運び込まれた。

「生きたいなら脱げ。お前の服をそいつへ着せる」

死体と服を交換し、地下水路から逃げたシシーリアは、翌朝、自分の獄死を告げる瓦版を生きたまま聞く。

悪女シシーリアは死んだ。

名前も家も財産も失った彼女が辿り着いたのは、七つの賢者の塔で最底辺と笑われる「錫の塔」。

そこで与えられたのは、エルサという偽名と、三日間の皿洗い契約だった。

魔法は使えない。料理もできない。皿は割るし、カルトッフェルの皮は厚い。

だが皿洗い三日目、塔の酒場で客が次々と倒れる。

逃げれば追手に見つかる。
残れば、身元不明の新人下働きが便利な犯人にされる。

エルサは逃げる代わりに、客が食べた物、座っていた場所、使った器、発症した時刻を注文板へ並べ始めた。

専門知識はない。

けれど、別々の人間が持つ知識と記録を、比較できる形につなぐことならできる。

苦い小麦。異常発酵する麦酒。粉々になる魔導回路。床下を這う黒い根。そして、王宮が用意しようとする一人の毒殺犯。

誰も自分の担当範囲では間違えていない。

それでも事故は起き、組織は責任を終わらせるための犯人を一人だけ求める。

エルサは事件を一つ止めるたび、三日、一か月、三か月と雇用をつなぎ、自分の名前と食事と寝床を守っていく。

名誉も復讐もいらない。

欲しいのは、一日三食と寝床と、明日もエルサとしてカルトッフェルを剥ける仕事だけ。

死んだことにされた悪女が偽名と帳簿を手に、便利な犯人へ押しつけられる責任と、王国を蝕む怪事件をつないでいく、料理と仕事と陰謀のダークファンタジー。
プロローグ
第1章 死んだ令嬢の皿洗い
第1話 排水溝で死ぬな
2026/07/19 15:00
第3話 古い鍋のそばで
2026/07/20 12:00
第5話 黒い根
2026/07/21 06:00
第6話 三日分の雇用
2026/07/21 19:00
第2章 苦い小麦と泡立つ麦酒
第8話 麦酒が呼吸している
2026/07/22 12:00
第9話 前任者の字
2026/07/22 18:00
第10話 誰も間違えていない
2026/07/22 22:00
第11話 灰は最後に土へ返す
2026/07/23 00:00
第12話 十一袋と、ひとつ
2026/07/23 20:00
第13話 王宮の厨房から
2026/07/24 00:00
第3章 王宮の毒見役
第15話 食材搬入口
2026/07/25 12:02
第16話 正しい印
2026/07/25 18:00
第19話 毒と言いなさい
2026/07/27 18:00
第20話 一口目
2026/07/28 16:00
第21話 犯人を用意しろ
2026/07/29 15:00
第22話 毒殺犯はいない
2026/07/30 16:00
第23話 嘘をついた者
2026/07/31 16:00
第24話 死者の報告書
2026/08/01 11:00
第25話 冷えたヴルスト
2026/08/01 16:00
閑話 眠っている親方
2026/08/02 12:00
第4章 休暇中の悪女
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