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追放された規格外聖女、辺境で神社はじめます〜銅貨5枚のお守りが国を守っていたと、私を捨てた人たちはまだ知らない〜

作者:宇野 心一
最新エピソード掲載日:2026/08/07
「スズラン、貴様との婚約を破棄する!」

 王太子のきどった宣言に、落ちこぼれ聖女のわたしは、食い気味に即答した。

「謹んで、お受けいたします」

 ——え、早くない? とざわめく大広間。けれど、わたしの心のなかは、お祭りだった。(ただ働き、終了ーーー!!)

 教会で十年、無給でこき使われた「燭台級」の聖女。わたしの祈りは、光でぱっと治すみんなとは違って、遅い。遅いけれど、二度とぶり返さない。そんな「規格外」の力を、教会は「使えない」と切り捨てた。

 追放された先は、触れた相手を凍らせる呪いを持つ辺境伯・ジークヴァルドのもと。氷の領主と恐れられる彼の呪いを、わたしの遅くて確かな祈りで、一年かけて、ゆっくり溶かすことになった。

 褒美にもらった裏山で、神社を開業。お守りのお代は、銅貨5枚。「祈りの値段は、祈った人の一食分。それ以上いただくと、祈りが商品になっちゃうんです」——立派な信条を語ったそばから、売上を数えてにんまり。強気の口上と、かわいすぎる値付けのギャップで、辺境の民に、じわじわ愛されていく。

 そして氷の辺境伯は、なぜか三日にあげず山へ通い、金貨を貢いでは「銅貨5枚です!」と突き返される日々。「あれはもう、通い婚では?」と町じゅうが噂するけれど、当の本人と、恋にだけは絶望的に鈍いわたしは、まるで気づかない。

 ——銅貨5枚のお守りが、じつは国を守っていたと。わたしを捨てたあの人たちが、まだ知らないころの、お話です。

 追放ざまぁ × 神社経営スローライフ × まっすぐ溺愛。勘違い聖女の、甘くて可笑しい辺境創業記、開幕です。
【幕間】はじめまして
2026/07/29 18:15
【幕間】前払い
2026/08/01 06:15
【幕間】使い道
2026/08/03 06:15
【幕間】白と緋
2026/08/05 06:58
【幕間】列の最後尾
2026/08/07 06:14
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