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力を使うたび、誰かが俺を忘れていく —— だから怪異は、殴らずに外す

作者:八夜巡
最終エピソード掲載日:2026/08/31
 怪異の真名を口にすれば、その力を借りられる。

 だが代償として、俺を覚えている誰かの記憶から、俺が消える。しかも、俺に一番近い人から順に。

 二年前に一度だけ大きく借りた。以来、姉は俺の名前を呼ぶのに一拍かかる。

 だから俺は、力を使わずに解く方法を探し続けている。

 怪異は化け物ではない。もっと融通の利かない、規則そのものだ。夜に来いと決めたら昼には来ないし、一人と決めたら二人は数えない。

 殴っても意味がない。譲らないものは、外側から条件を変えるしかない。

 ——そう決めた三日後に、俺は名を借りることになる。

※カクヨムにも同時投稿しています。
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