表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

駄王子は王国の影を統べる

作者:歩葉
最新エピソード掲載日:2026/06/20
 ヴァルタイン王国では、病に伏す国王アルバートに代わり、王太子ルイが実質的に国政を担っていた。民と貴族から厚い信頼を集めるルイに対し、第二王子アランは怠惰で軽薄な「駄王子」として知られ、王城内でも冷ややかな視線を向けられている。

 王城で開かれた夜会の日、アランはいつものように無気力でだらしない王子を演じ、貴族たちの陰口を受け流していた。その姿を見たランバール公爵令嬢ミリアもまた、アランに失望と軽蔑を抱く。王族でありながら責任を果たさず、兄ルイの重荷にも気づかぬように見えるアランの態度は、誇り高い公爵令嬢であるミリアには到底受け入れがたいものだった。

 しかし、その夜会の裏では、王国を揺るがす不穏な動きが始まっていた。王城内に入り込んだ敵勢力「黒蛇」が、貴族たちの間に疑念を撒き、王家の隙を突こうとしていたのである。表向きは何も知らぬように振る舞うアランだったが、実は彼こそが王国の影で動く極秘組織「影狼」を率いる人物だった。

 アランは、自らが無能に見られることを承知の上で、王位争いを避け、兄ルイを表の王として支えるために「駄王子」を演じ続けていた。誰にも称賛されず、誰にも理解されずとも、王国を守るために影から黒蛇の動きを追っていたのである。

 夜会の陰で、影狼は黒蛇の内通者の気配を掴み、王城内に潜む危険を静かに摘み取っていく。だが、その戦いはまだ表には出ない。貴族たちは何も知らず、ミリアもまた、アランの真の姿には気づかない。

 そんな中、ミリアの父であるジル・ランバール公爵は、王家とランバール家の関係、そして王国の未来を見据え、ミリアとアランの婚約を決める。ミリアにとって、それは到底納得できるものではなかった。尊敬する王太子ルイではなく、軽蔑していた駄王子アランとの婚約。それは彼女にとって、屈辱にも近い決定だった。

 一方のアランは、ミリアから向けられる嫌悪を受け止めながらも、何も弁明しない。自分の真実を明かすことは、影として王国を守る役目を崩すことになるからだ。

 こうして、表では「駄王子」と「公爵令嬢」の不本意な婚約が始まり、裏では王国を脅かす黒蛇との静かな戦いが幕を開ける。

 誰も知らないところで、王国の影はすでに動き出していた。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ