18話 銀の理由
ランバール公爵邸の朝は、静かに始まった。
白薔薇の庭には薄い朝霧が残り、花弁の上に小さな水滴が光っている。王都の中心にある屋敷でありながら、この庭だけは外の喧騒から切り離されたように穏やかだった。
だが、その一角にある訓練場だけは、すでに張り詰めた空気を帯びていた。
ミリア・ランバールは木剣を構えていた。
向かいに立つのはレムである。
黒髪を高く結い、黒を基調とした訓練着を身に纏った彼女は、侍女というより剣士そのものだった。手にしている木剣は細い。だが、そこから放たれる圧は重い。
「視線が剣に寄っています」
レムの声が飛ぶ。
ミリアは息を整えた。
相手の剣だけを見るな。
肩を見る。腰を見る。足を見る。
怒りと同じ。
目の前に見えるものだけへ飛びつけば、足元をすくわれる。
レムが踏み込んだ。
木剣が右から来る。
ミリアは反射的に受けようとしたが、すぐに足を動かした。半歩下がり、身体を開く。木剣が頬の前を通り過ぎる。風が髪を揺らした。
続く二撃目。
今度は斜め上から。
ミリアは木剣を合わせ、正面から受け止めずに斜めへ流す。腕に衝撃が走ったが、弾かれはしなかった。
踏みとどまる。
そして、すぐに横へ逃げる。
レムの三撃目が空を切った。
そこで、レムは木剣を下ろした。
「良くなっています」
短い言葉だった。
だが、ミリアの胸には確かな手応えとして届いた。
「ありがとうございます」
「まだ動きに迷いがあります。ですが、以前より先に足が動くようになりました」
「剣より足、ですね」
「はい。生き残るためには、まず倒れないことです」
生き残るため。
以前の自分なら、その言葉に現実味を感じなかっただろう。公爵令嬢である自分が、命を狙われる場に立つなど想像もしなかった。だが今は違う。
黒蛇は王城にまで入り込んでいる。
財務局を使い、商会を使い、貴族家を使い、古い伝承にまで手を伸ばそうとしている。
自分もまた、その網の中にいる。
ミリアは木剣を握り直した。
「もう一度、お願いします」
レムはわずかに目を細めた。
「無理は禁物です」
「無理ではありません。今の感覚を、もう少し確かめたいのです」
「では、三度だけ」
「はい」
再び構える。
朝霧の中、木剣が鳴った。
その頃、王城では、アランが国王アルバートの寝室を訪れていた。
病に伏しているとはいえ、アルバートの部屋は暗く沈んではいない。大きな窓から朝の光が差し込み、壁にはヴァルタイン王家の紋章が掛けられている。机の上には、まだ読みかけの書類が数枚置かれていた。政務の多くはルイに移っているが、アルバートは完全に王であることをやめたわけではない。
寝台の上で上体を起こした国王は、かつてより痩せていた。
それでも、金の髪はまだ光を宿している。
ルイと同じ色。
黄金の王統の色。
アランは部屋に入ると、静かに一礼した。
「父上」
「アランか」
アルバートの声は少しかすれていたが、穏やかだった。
「朝から珍しいな。何かあったか」
「何もなければ、息子は父を訪ねてはいけませんか」
「お前がそういう言い方をする時は、たいてい何かある」
「信用がないですね」
「長年の経験だ」
アランは苦笑し、寝台のそばの椅子に腰を下ろした。
しばらく、二人は黙っていた。
窓の外では、王城の庭が朝日に照らされている。遠くで騎士たちの訓練の声が微かに聞こえた。王城は今日も動いている。王が病に伏していても、国は止まらない。
アランは父の金髪を見た。
幼い頃、王の私室で膝をついて自分を抱きしめた父の姿を思い出す。
自分を憎むな。
あの約束。
今も守れているのか、自信はなかった。
「父上」
「何だ」
「銀の誓約について、黒蛇が探っている可能性があります」
アルバートの表情が変わった。
わずかな変化だった。
だが、王として長く国を見てきた者の目が、一瞬で鋭くなる。
「どこまでだ」
「まだ断片です。ローデン商会、グレイストン伯爵、王城資料保管棟の火災。そして、建国期の古い徽章」
「グレイストンか」
アルバートは静かにその名を呟いた。
「やはり、ご存じでしたか」
「グレイストン家は、古くは蒼狼軍の記録管理に関わっていた家だ」
アランは目を伏せた。
予想はしていた。
だが、父の口から聞くと重みが違う。
「蒼狼軍は、本当にまだ存在するのですか」
問いは静かだった。
だが、部屋の空気は重くなった。
アルバートはしばらく答えなかった。
やがて、ゆっくりと言う。
「軍としては存在しない」
「軍としては」
「建国期の蒼狼軍は、すでに歴史の中で解体された。王家直属の影の軍など、平時には危うすぎる。何代も前の王が、その名を封じた」
「では、誓約は」
「消えてはいない」
アランの指がわずかに動いた。
アルバートは窓の外へ視線を向けた。
「王国各地に散った家々がある。辺境の騎士家、退役軍人の血筋、古い山岳領の守備隊、王都の記録に残らぬ小領主。彼らは今、蒼狼軍を名乗ってはいない。だが、家訓として古い誓いを守る者たちがいる」
「銀髪の王族に応じる誓い、ですか」
「そうだ」
アルバートは息を吐いた。
「ただし、それは軽々しく呼べるものではない。蒼狼の誓約は、王国が滅びの縁に立った時のみ動く。王の命令ではなく、銀の守護者の呼び声に応じる」
「だから、兄上ではなく僕なのですね」
その声には、苦さがあった。
アルバートは息子を見た。
「ルイは黄金の王だ。民の前に立つ者。お前は銀の守護者。夜を守る者。そういう伝承がある」
「伝承に人生を決められるのは、少し窮屈ですね」
「その通りだ」
アルバートは即座に言った。
アランは少し驚いたように父を見る。
「お前の人生は伝承のためにあるのではない。銀の髪だから影に生きねばならないわけではない」
「でも、僕は選びました」
「選ばせてしまった」
アルバートの声に、かすかな痛みが混ざった。
「幼いお前が、自分から駄王子になると言った時、私は止めきれなかった。王としては、その判断が国を守ると分かっていた。父としては、ただ抱きしめてやることしかできなかった」
「父上のせいではありません」
「そう言ってくれるだろうな、お前は」
アルバートは寂しげに笑った。
「だが、それでも私は思う。お前は、もっと自由に笑ってよかった」
アランは何も言えなかった。
胸の奥に、幼い日の感情が薄く戻ってくる。
父に褒められた時の喜び。
ルイに拍手された時の誇らしさ。
教師たちが自分と兄を比べ始めた時の冷たさ。
駄王子になろうと決めた時の、不思議な静けさ。
すべて、遠いもののはずだった。
だが、今もまだ消えてはいなかった。
「父上」
「何だ」
「僕は後悔していません」
アランは静かに言った。
「兄上が王になるべきだという考えは、今も変わりません。僕が駄王子として笑われることで、兄上の道が少しでも真っ直ぐになるなら、それでいい」
「アラン」
「ですが」
そこで一度、言葉を切った。
少しだけ迷う。
それでも続けた。
「最近、それを怒る人ができました」
アルバートの目が柔らかくなる。
「ランバール公爵の娘か」
「ご存じでしたか」
「ルイから聞いている。お前の悪評に本気で怒ったそうだな」
「兄上は何でも話しますね」
「嬉しかったのだろう」
「僕がですか」
「ルイがだ」
アルバートは小さく笑った。
「お前のために怒る者が増えたことを、あの子は喜んでいる」
アランは困ったように視線を逸らした。
「皆、僕を甘やかしすぎです」
「違う。お前が自分に厳しすぎる」
父の言葉は静かだった。
「アラン。彼女には、話せることを話しなさい」
「父上まで、それを言うのですね」
「ルイにも言われたか」
「はい」
「なら、王命だと思え」
「病床の父上がそういう言い方をするのはずるいです」
「王とは時にずるいものだ」
アルバートは穏やかに言った。
「お前が守ろうとしているものは、もうお前一人の手には余る。影狼がいる。ルイがいる。レムがいる。そして、ミリア嬢がいる。銀の誓約に触れるなら、彼女の力も必要になるかもしれない」
「彼女を巻き込みたくありません」
「もう巻き込まれている」
ルイと同じ言葉だった。
アランは小さく息を吐く。
「親子ですね」
「当然だ」
父は微笑んだ。
その笑みは、かつての王の力強さではなく、病に蝕まれた人間の弱さを含んでいた。だが、アランにとってはそれでも父の笑みだった。
「アラン」
「はい」
「銀の守護者とは、孤独であることを意味しない」
アランは静かに父を見た。
「夜を守る者にも、灯は必要だ」
その言葉は、深く胸に落ちた。
部屋を出たアランは、しばらく廊下で立ち止まっていた。
父の言葉が耳に残っている。
夜を守る者にも、灯は必要だ。
自分にとっての灯とは何か。
兄ルイの金の光。
父アルバートの言葉。
影狼の仲間たち。
そして、ミリアの怒り。
彼女が自分のために怒った時、胸の奥に生まれたあの温かさ。
あれもまた、灯なのかもしれない。
アランは自分の銀髪に触れた。
伝承。
誓約。
古の軍。
それらが再び動き出そうとしている。
自分が避け続けてきたものが、黒蛇によって掘り起こされようとしている。
ならば、隠してばかりはいられない。
その日の午後、アランはランバール公爵邸を訪れた。
表向きには、グレイストン伯爵家の件について公爵と話すためである。だが、ミリアは彼が到着した時、その目的がそれだけではないことをすぐに察した。
アランの表情が、いつもより静かだったからだ。
公爵との短い挨拶を終えた後、二人は庭園の奥にある小さな東屋へ向かった。
白薔薇の庭が見える場所だった。
風が花の香りを運んでくる。
アランはしばらく黙っていた。
ミリアも急かさなかった。
以前なら問い詰めたかもしれない。だが今は、待つことも必要なのだと知っている。
やがて、アランが口を開いた。
「君が見つけた一節だけど」
「銀の守護者の伝承ですね」
「うん」
彼は白薔薇を見ながら言った。
「それは、ただの逸話じゃない。ヴァルタイン王家に伝わる古い誓約の一部だ」
ミリアは静かに頷いた。
「黄金の髪は表の王。銀の髪は影の守護者」
「その通り」
アランは少しだけ苦笑した。
「僕は、幼い頃にそれを知った」
ミリアは息を呑んだ。
アランは続ける。
「父上と兄上は金の髪だ。王国の光として立つべき色。僕だけが銀だった。最初は、ただ珍しい色だと思っていた。でも、古い記録を読んで、自分の髪に意味があることを知った」
「それが、あなたが駄王子になろうと決めた理由ですか」
ミリアの問いは静かだった。
アランは少し驚いたように彼女を見る。
そして、小さく笑った。
「本当に、君はすぐ核心に来る」
「間違っていますか」
「間違っていない」
彼は目を伏せた。
「僕は優秀だった」
その言葉は、驕りではなかった。
ただの事実として、静かに語られた。
「剣も、学問も、軍略も、政治も。子どもの頃から覚えるのは早かった。教師たちは喜んだ。でも、そのうち比べるようになった。ルイ殿下も優秀だ。だが、アラン殿下は、と」
ミリアの胸が痛んだ。
その先が、分かってしまったからだ。
「王城では、比較は火種になる。僕が目立てば、誰かが僕を担ぐ。兄上と比べる。王位を巡る派閥を作る。僕の意思とは関係なく、僕を旗にする」
「だから、ご自分を隠したのですか」
「うん」
アランは頷いた。
「兄上が王になるべきだった。今もそう思っている。だから僕は、兄上と比べられない王子になろうとした」
「それで、駄王子に」
「そう」
軽く言った。
だが、その言葉がどれほど重いか、ミリアには分かった。
駄王子。
王家の恥。
無能な第二王子。
その評判は、誰かに押しつけられたものではなかった。
アラン自身が作り上げたものだった。
兄を守るために。
王国を割らせないために。
そして、自分を利用させないために。
ミリアは拳を握った。
また怒りが湧いてきた。
だが、今度は誰に向ければよいのか分からなかった。
アランを笑った貴族たちか。
彼を比べた王城の人々か。
幼い彼にそこまで考えさせた王家という仕組みか。
それとも、そのすべてを一人で背負おうとしたアラン自身か。
「怒っている?」
アランが尋ねた。
ミリアは正直に答えた。
「はい」
「僕に?」
「少し」
アランは目を瞬かせた。
ミリアは続けた。
「あなたが兄上を想う気持ちは分かります。王国を守ろうとしたことも分かります。ですが、幼いあなたが自分から駄目な王子になると決めなければならなかったことが、悔しいです」
アランは黙った。
「そして、それを今でも当然のように語るあなたにも、少し怒っています」
「……手厳しいね」
「あなたに甘くすると、きっと自分を軽く扱うので」
アランは苦笑した。
「レムみたいなことを言う」
「レムさんの気持ちが分かってきました」
「それは困ったな」
ミリアは彼を見つめた。
「アラン殿下」
「何?」
「あなたが駄王子の仮面を必要としていることは、理解しています。壊すつもりはありません。けれど、私の前でまで、自分を軽く扱わないでください」
風が吹いた。
白薔薇が揺れる。
アランはその言葉をすぐには受け止めきれなかった。
私の前でまで。
その言葉が、胸の奥に静かに落ちた。
幼い頃、ルイも似たことを言った。
私の前では、駄目な王子のふりをするな。
そして今、ミリアが言っている。
自分を軽く扱うな、と。
長い時間を経て、同じような言葉を受け取ることになるとは思わなかった。
「……努力する」
アランは小さく言った。
ミリアは眉を上げる。
「それは守らない時の言い方だと、ルイ殿下がおっしゃっていませんでしたか」
「兄上から聞いたの?」
「いいえ。想像です」
「怖いな、君」
「約束してください」
ミリアは引かなかった。
アランはしばらく彼女を見つめた。
真っ直ぐな青い瞳。
怒っているのに、優しい。
責めているのに、離れようとはしない。
アランは息を吐いた。
「分かった」
彼は静かに言った。
「君の前では、なるべく自分を軽く扱わない」
「なるべく?」
「……扱わない」
「はい」
ミリアはようやく頷いた。
アランは困ったように笑った。
「君は本当に、僕の逃げ道を塞ぐのが上手い」
「逃げるからです」
「否定できない」
二人の間に、少しだけ穏やかな空気が戻った。
だが、話はまだ終わっていない。
ミリアは静かに尋ねた。
「古の軍とは、何ですか」
アランの表情が変わる。
ミリアはすぐに続けた。
「すべてを話せないなら、それで構いません。ですが、黒蛇がその記録を探っているのなら、私にも知っておくべき範囲があるはずです」
アランはしばらく黙っていた。
以前なら、ここで話を切っただろう。
知らない方がいい、と。
だが、父にも兄にも言われた。
遠ざけるのではなく、導け。
必要なことを教え、危険な線を示せ。
アランはゆっくり口を開いた。
「蒼狼軍」
ミリアの目がわずかに揺れる。
「それが、古の軍の名ですか」
「建国期に存在した、王家直属の誓約軍だ。表の王軍とは別に、王国が滅びの縁に立った時だけ動くとされた軍。王の命令ではなく、銀髪の王族に応じる」
「銀髪の王族……」
「つまり、僕だね」
アランは軽く言った。
しかし、ミリアはその軽さに乗らなかった。
「あなたでなければならないのですね」
「伝承が正しければ」
「今も存在するのですか」
「軍としては存在しない。少なくとも、記録上は」
「記録上は」
「各地に散った家々が、古い誓いを守っている可能性はある。グレイストン家は、その記録管理に関わっていた家の一つだった」
ミリアは息を呑んだ。
茶会で見た徽章。
古い肖像画。
夫人の不自然な反応。
すべての意味が少しずつ変わっていく。
「黒蛇は、その蒼狼軍を利用しようとしているのでしょうか」
「分からない」
アランは正直に答えた。
「だが、もし誓約の記録を手に入れれば、銀髪の王族を狙う理由になる。あるいは、蒼狼軍の末裔を探し出して支配しようとしているのかもしれない」
「あなたを狙うために」
「かもしれない」
ミリアの表情が硬くなる。
「なら、なおさら隠してはいけません」
アランは苦笑した。
「君は本当に強いね」
「強くありません。怖いです」
その言葉は意外だった。
アランは彼女を見る。
ミリアは正直に言った。
「あなたがまた一人で抱えようとすることが怖い。黒蛇があなたの銀髪を狙うことも怖い。私が知らないまま、あなたが危険な場所へ行くことも怖い」
彼女は手を握った。
「ですが、怖いから知らないままでいたいとは思いません」
アランは静かに目を伏せた。
夜を守る者にも、灯は必要だ。
父の言葉が蘇る。
ミリアは、灯なのだろうか。
少なくとも、彼の夜を照らし始めているのは確かだった。
「分かった」
アランは言った。
「蒼狼軍について分かったことは、必要な範囲で君にも共有する」
「約束ですか」
「約束」
今度は、はっきりと言った。
ミリアは静かに頷いた。
その時、東屋の外にレムが現れた。
彼女は一礼し、静かに告げる。
「アラン様。ゼイドより急報です」
アランの表情が一瞬で変わった。
「何があった」
「エドガーの屋敷に侵入者。証拠を回収しようとした者を確認。ただし、その者が持ち出したのは覚書ではありません」
「では何を」
レムの赤い瞳が鋭くなる。
「古い軍旗の断片です。蒼狼の紋が確認されたとのことです」
ミリアは息を呑んだ。
アランの青い瞳が冷たく澄む。
黒蛇は、やはり探っている。
ローデン商会でも、財務局でも、王城火災でもない。
もっと古いものを。
銀の髪に繋がる誓約を。
アランは立ち上がった。
「王城へ戻る」
レムが頷く。
「馬車を用意しております」
アランは一度だけミリアを見た。
「ミリア嬢」
「はい」
「君は公爵邸で、グレイストン家と蒼狼軍の繋がりを調べてほしい。直接接触はしない」
「分かっています」
「それと」
アランは少しだけ言葉を探した。
「……ありがとう。話を聞いてくれて」
ミリアは一瞬だけ目を見開いた。
そして、柔らかく答えた。
「こちらこそ、話してくださってありがとうございます」
アランは小さく頷き、背を向けた。
白薔薇の庭を抜け、銀の髪が風に揺れる。
その背を見送りながら、ミリアは胸の前で手を握った。
駄王子の始まり。
銀の守護者。
蒼狼軍。
そして、黒蛇が狙う古い誓約。
物語は、王城の陰謀からさらに深い場所へ進み始めている。
ミリアはもう、その入り口に立っていた。
ただ守られるためではない。
彼が一人で夜へ消えないように。
自分もまた、灯を掲げるために。




