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自堕落に生きると決めた貴族、何故か今日も忙しい ~高級自堕落貴族を目指す~

作者:鏑右いなだ
最新エピソード掲載日:2026/11/03
「……もう、疲れた」

 戦って、殺して、傷ついて。
 戦場しか知らなかった男の人生は、その一言で終わった。

 そして次に目を覚ますと、異世界の貴族ジュダレーム家の三男、ミットリオ・ジュダレームとして生まれ変わっていた。

 飯はあるし寝床もある。その上魔法が使える。
 もう戦う必要はない。

「……最高じゃないか」

 今度こそうまいものをたらふく食べて、好きなだけ眠って、家族とのんびり暮らす。
 そんな自堕落な人生を送るはずだった。

「もう少し、うまいものが食いたいな」
「もう少しだけ、快適に暮らしたいな」
「家族が喜ぶなら……まあ、やるか」

 前世の知識と少しばかりの魔法を使って工夫するたび、料理が増える、暮らしが大きく変わる、家族の笑顔が増えていく。

 そして気が付けば、屋敷だけでは収まらず、村まで変わり始めていた。

「……おかしい。俺は自堕落に生きたいだけなんだけどな」

 見たことない料理、拡大する農園、見たことない祭り。
 この世界にはない娯楽や、魔法を使った新しい暮らしまで。

 戦うことに疲れた男は、今度こそ何もしないと決めた。
 なのに今日も、家族のために、暮らしのために、なぜか頑張ってしまう。

 これは、戦場帰りの男が自堕落を目指しながら、なぜか周囲まで豊かにしてしまう、異世界スローライフ物語。
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