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おむすび姫 ―時をむすぶ、ひとつのおむすび―

作者:未来人。
最終エピソード掲載日:2026/11/01
岡山の山あいにある、小さなおにぎり屋。

中学三年生の藤代むすびは、学校から帰ると毎日、パパと母・ゆりちゃんの店を手伝っていた。
特別な才能なんてない。
ただ、人がつられて笑ってしまうような笑顔と、困っている人を放っておけない優しさを持つ、ごく普通の女の子だった。

ある夕暮れ。
店先で空腹に倒れそうになっていた一人の男へ、むすびはこっそり塩むすびを差し出す。

涙を流しながらそれを食べた男は、礼として古びた一本のかんざしを残していった。

その夜――。

むすびが目を覚ますと、そこは天正元年(一五七三年)の備中国。

しかも自分は、藤代家の姫・結の身体の中にいた。

旱魃。
飢え。
食糧不足。

かつて助け合っていた藤代家と久瀬家は、何者かによって食料へ細工をされたことで互いを疑い、ついには戦へ向かい始める。

敵も味方も、本当はただ生きたいだけなのに。

怖い。
逃げたい。
それでも、これ以上誰にも死んでほしくない。

時を越えて出会った二人の少女――むすびと結は、ひとつの決断をする。

刀でもなく。
弓でもなく。

戦を止めるために選んだものは――

「おむすび」だった。

これは、一個のおむすびから始まった小さな優しさが、
人と人を、過去と未来を、そして命を結んでいく物語。
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