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ハズレスキル【受付】の医療事務、女神に差し戻された二十年分の「返戻」を直して世界を救う ~治癒魔法が効かない? それ、請求ミスです~

最終エピソード掲載日:2026/10/13
「本件、返戻とする。事由――」

総合病院の医事課で七年、レセプトの間違いを黙って直し続けてきた水無瀬詩織。首から下げた名札は、いつも裏を向いていた。
病院火災の夜、電子カルテに載らない患者の受付票を取りに煙の中へ戻った彼女は、自分の名前を言えないまま息絶える。

目を覚ましたのは、辺境オルドの施療院の霊安所。灰咳で死んだ少女ニナの体の中だった。
神殿の鑑定で授かったスキルは【受付】。戦えず、癒せず、人を迎えて名を書くだけのハズレスキル。おまけに教会の名簿にも載らない「空札」と蔑まれる。

けれど書記室の開かずの箱には、女神から二十年突き返され続けた赤い札がぎっしり詰まっていた。
札の表には「返戻」の二文字。裏には、返戻事由 資格不一致。
――治癒魔法が効かないのは、呪いでも信心不足でもない。請求ミスだ。

番号札、問診、リストバンド、月遅れ請求、突合点検。
病院の受付で覚えたやり方で、詩織は人々の名前を一つずつ確かめ、差し戻された明細を直していく。
だが王都で待っていたのは、異界から召喚された「聖医」――前の世界で彼女の付箋を丸め続けた外科医と、名を一つにしようとした枢機卿だった。

人の名前は毎日聞けるのに、自分の名前だけが言えない。
そんな受付が、女神の帳簿の「差し戻し」を直して出し直すまでの物語。
(全26話・完結済み)
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