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完結 ノクトホロウの魔女『美少女メイド、拷問されて顔も足も失い捨てられた結果、魔女となって悪役令嬢とその取り巻き全員に因果応報ざまぁするまで』

作者:カトラス
最初の本格的な拷問から、どれほどの時が過ぎたのか分からない。水牢の冷たい水は、膝まで満ちたまま変わらず、鎖の食い込む痛みも日常に溶け込んでしまった。けれど、心は確実に削り取られ、冷たい空洞になっていく。

 あの日、私の歯はすべて抜かれた。自死を防ぐためだと笑いながら、長女イザベラは顎を乱暴に掴み、鉄の器具で一本ずつ歯を引き抜いていった。骨に響く鈍い痛み、鉄と血の味が口いっぱいに広がる。
「これで、もう舌も噛めないわね。死ぬことすら許されないのよ」
 イザベラの冷酷な言葉が耳に残り、胸の奥で何かが凍り付いた。

 その日を境に、三姉妹は姿を見せなくなった。代わりに現れるのは、夜ごと水牢に降りてくる醜悪な男たち。水音と靴音が階段を下りて近づくたび、冷たい恐怖が背骨を這い上がった。
「まだ生きてるな……」
「今日はどんな顔を見せるか楽しみだ」
 湿った笑い声が闇を満たし、石壁に反響して幾重にも重なる。獣のような視線が肌にまとわりつき、鎖がわずかに震えるほど私は身を固くするしかなかった。

 体を逃がす場所も、目を閉じて現実を拒む勇気もない。ただ、荒い息と水滴の音だけが世界を支配する。暗闇の中で響く靴音と、耳元に感じる湿った吐息。胸が張り裂けそうな恐怖に、喉の奥でかすかな声が漏れた。
「……やめて……」
 その小さな声は、闇に呑まれて誰にも届かない。

 やがて、男たちの足音も笑い声も途絶えた。水牢には水滴の音と、私の荒い呼吸だけが残る。闇は深く、世界は水と鎖と石しかなかった。

 その孤独の中で、胸の奥に生まれたのは、冷たく重い感情だった。恐怖に凍えながらも、静かに膨れ上がるのは、すべてを沈めてやりたいという暗い願望だけ。かつての怯えは、やがて鋭い刃に変わり、私の心の奥底でひそやかに光を帯びた。

第三十七話『次なる布石』
2025/08/13 15:14
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