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【改稿・加筆完全版】化ける猫と黒縁眼鏡

最新エピソード掲載日:2026/10/14
読書を至高の趣味とする男・武藤は、フィクション小説をこよなく愛する理屈屋の読者だ。

起承転結が整い、作者自身を感じさせないほど綺麗な虚構で包まれた物語。そんな“つるり”とした手触りの小説こそが、良い作品だと信じていた。

そんな武藤が中学生の頃、偶然手に取った大学の文芸誌で、一人の書き手と出会う。

ペンネームは「東雲朔夜」。

小説としては拙い。なのに、その文章からは作者の感情が滲み出ているような、不思議な“ざらり”とした手触りがあった。
本来なら好みではないはずのその文章に、武藤はどうしようもなく惹かれてしまう。

けれど、東雲朔夜はやがて文芸誌から姿を消した。

それから数年。
大学の法学部に進学し、文芸サークルに入った武藤は、一人の男と出会う。

人懐っこく、距離が近く、誰とでも仲良くなれる猫柳。
文学部で民俗学を学ぶ彼は、相手に合わせていくつもの顔を使い分ける、筋金入りの“猫被り”だった。

――いけ好かない猫被り。

武藤にとって、最初はただそれだけの男だった。

ところが、フィールドワークに連れ回され、レポートを手伝わされ、雨の日にはずぶ濡れで転がり込まれ――気づけば猫柳は、武藤の生活のすぐ隣に居座るようになっていた。

そして猫柳もまた、自分の猫被りを見抜きながら、それを暴こうとも、やめさせようともしない武藤の前でだけ、少しずつ“皮の下”を見せ始める。

文章なら読める。
そこに滲んだ感情だって、見つけられる。

なのに、人間の感情はどうしてこんなにも分からないのか。

そんなある日、武藤は猫柳が書いた小説の中に、ずっと忘れられなかった“手触り”を見つけてしまう。

かつて恋をした文章と、今、目の前にいる男。

二つはやがて、武藤の中で思いもよらない形で交わり始める。

これは、物語に恋をした読者が、その文章の向こうにいる“誰か”を見つけるまでの話。
そして、理解できなかった感情を、やがて“恋”と呼べるようになるまでの物語。


※旧版『化ける猫と黒縁眼鏡』は公開を終了しました。
今後は本改稿版に一本化します。
旧版にはなかった新規エピソードも追加しておりますので、引き続きお楽しみいただければ幸いです。

※この作品は、「カクヨム」と「pixiv」にも一部掲載しております。
<はじまりの章>
<春の章>
第3話 猫被り①
2026/09/13 22:49
第4話 猫被り②
2026/09/13 22:53
<夏の章>
<秋の章>
第19話 化ける猫
2026/10/01 18:54
第20話 雨の日
2026/10/01 18:56
第23話 文化祭①
2026/10/04 14:04
第24話 文化祭②
2026/10/04 14:05
<冬の章>
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