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陽だまり縁側堂の、思い出の捨て方 ――嘘の実話祭りと危険な伯爵――

作者:乾為天女
最新エピソード掲載日:2026/06/17
 元古道具査定士の香織は、壊れた家具や使えない日用品を迷いなく処分してきた。けれど祖母の日記を読まずに捨てた過去だけは、胸の奥に刺さったままだった。春の初め、香織は亡き春井伯仁が遺した古民家「陽だまり縁側堂」を任される。町では伯仁が「危険な伯爵」と呼ばれていた。古い日記を切り裂き、人の過去を消していたという噂まで残っている。取り壊し期限は翌年三月末。香織は、町の人が持ち込む「捨てたいけれど捨てられない物」を預かる相談所を開く。そこへ、数字と期限に厳しい理香、静かに紙を直す咲璃、伯爵姿で人を笑わせる雄史、段取り上手な萌、自由な鳩子、鈍感な整備士の志龍たちが集まってくる。顔パック姿の会議、メントール騒動、暴走するオフィスチェア、嘘みたいな実話を語る夜。笑いの奥で、古い写真と日記の封筒が、伯仁の本当の行動を少しずつ明かしていく。思い出は捨てるか残すかだけではない。誰かを責める形から解放し、抱え方を選び直すこともできる。香織は縁側に座る人々と向き合いながら、自分の後悔にも静かに手を伸ばしていく。
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