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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

残花葬送 ー世界から消す未来を、君と花束にするー

作者:桝田キゲン
最新エピソード掲載日:2026/09/06
選ばなかった未来は、あなたより幸せに生きている。

人が選ばなかった人生は、強い後悔を養分にして「残花」となる。

もし残花が夜明けまでに根づけば、現在は書き換えられる。

失わなかった人。
選ばなかった仕事。
壊れなかった関係。
あの日、別の道を選んでいた自分。

叶わなかったはずの幸福が、本物の人生として現在を塗り替える。

夜だけ開く花屋「夜明堂」で働く久世夜一は、残花に宿る感情と記憶を花束へ束ねる〈送花師〉。

相棒は、残花を食べる白髪の少女・マシロ。

二人のもとには、選ばなかった未来に囚われた人々が訪れる。

取り戻したい人。
忘れたくない人。
消してしまいたい後悔。
本当に自分のものなのかさえ分からない記憶。

残花が見せる未来は、ときに現在より美しい。

けれど、幸福な未来を選び直せば、
今まで生きてきた時間が消えるかもしれない。

誰かを救えば、
別の誰かが存在しなかったことになるかもしれない。

残すことが、その人を残すことになるとも限らない。

家族が覚えている姿。
誰かとの関係。
過去の名前。
変わってしまった現在。

そのどれか一つだけを「本人」と決めれば、
救うはずだった相手を、こちらの願いで作り変えてしまうこともある。

だから夜一は問う。

何を残すのか。

何を消すのか。

誰が、それを決めていいのか。

そして。

分からないものを、分かったことにしないまま、
それでも何を選ばなければならないのか。

完璧な未来と、不格好な現在。

失った人生と、今ここにいる誰か。

これは、選べなかった人生を否定する物語ではない。

選ばなかった未来も。
失われた関係も。
変わってしまった誰かも。

勝手に「なかったこと」にせず、
勝手に「こうだった」と完成させもしないための――

夜の花屋の物語。
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