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買われた王子の忠誠が重すぎる件

最終エピソード掲載日:2026/05/13
鎖をつけられた青年を、私は夫と呼ぶことにした。
戦勝国の第三王女アネリーゼ。
王家の変わり者と呼ばれ、誰にも必要とされない。
そんな彼女が敵国から送られてきた王子を引き取った。
「人質ではなく夫として迎えます。ただし、名目だけ。」
白い結婚。お互い干渉しない約束。
だが復興事業を進めるうち、この王子の力が要る。
地図を読み、道を知り、黙って梨を皿に載せる男。
褒めると固まる。名前を呼ぶと耳が赤くなる。
名目上の夫のはずが、それ以上をし始めた。
夜の回廊を一人で巡り、密使を追い、傷を負う。
なぜそこまでするのかと問えば、短く返す。
「やりたいからやっている。」と。
宮廷は二人を放っておかない。
姉の優しすぎる微笑み。兄の冷たい正論。
敵国から届く返還要求の外交文書。
白い結婚を崩そうとする力が、内にも外にも動いている。
条約と法で守り、守られる日々の中で、名目は静かに溶けていく。
買われた王子の忠誠は、いつから忠誠でなくなったのか。
それに気づくのは、きっと本人が最後だ。
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