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Tの終焉

作者:速水アオイ
「探偵小説」は、本質的に「欠陥」を含んでいる。
 ここで言う「欠陥」とは、「探偵小説」が探偵小説たるために不可欠であるにも拘らず、それの真の完成を最後の時点で決定的に阻む「躓きの石」としても機能するという意味で、非常に逆説的な一要素のことを指している。そしてその所謂「アポリア」の淵源は、結局のところ、「探偵小説」が「モノローグ」でしかありえないというところにこそ求められる。「探偵」が情報を集め、推理を進め、徐々に謎を解き明かし、最後にようやくたどり着くはずの「真相」は、実際には「探偵」が情報を集めるより前から既に「作者」(≠語り手/現実に生きて、動いている人物としての作者)によって作中に内蔵されていなければならない。つまり「探偵」は一見どれだけ活躍しているように見えようとも、結局敷かれたレールの上を行ったり来たりしているだけにすぎず、だからこそ「探偵小説」はその系列の正統な嫡子であることを目指す限り、実際には超越的な立場に安住し、高みの見物を決め込む「作者」渾身の、自己満足的に脚色された「事件の報告書」にしかなり得ない。要するに、そういうことだ。
 だから翻って考えれば、今ここに語り出されようとしている「物語」は、「探偵小説」に対する「絶対的な《他者》」たることこそが求められている。「探偵小説」としてある限り、決して逃れることのできないくだんの「アポリア」をいかにして超克するか、そのことについて答え=実践がこの「物語」なのである。
 とは言え、広大な電脳空間上の一スペースをお借りしたうえでただ単に「探偵小説」がどうたらこうたらとかいう極めてニッチすぎる「お喋り」にのみ延々終始するのは、どう考えてもそれ自体があまりに自己満足的に過ぎている。それゆえ「物語」に仮託する形で為された試論、及びそれにより得られたわずかばかりの知見は、ゆくゆくはより大きな問題へと敷衍されていかなければならない。つまり概括すれば、ある種の普遍的な「出口なし」状況(≒閉塞、八方ふさがり、袋小路、牢獄、etc.)からの脱却、それが本「物語」の真の眼目である。……お分かり、いただけただろうか……?

「A」について①
2025/08/15 20:20
「A」について②
2025/08/16 20:12
「A」について③
2025/08/17 20:44
依頼①
2025/08/18 19:06
依頼②
2025/08/19 21:48
依頼③
2025/08/20 22:19
依頼④
2025/08/21 21:41
依頼⑤
2025/08/22 21:35
依頼⑥
2025/08/23 21:45
依頼⑦
2025/08/24 17:34
依頼⑧
2025/08/25 11:19
依頼⑨
2025/08/26 21:41
依頼⑩
2025/08/27 21:46
接触Ⅰ①
2025/08/28 22:27
接触Ⅰ②
2025/08/29 22:47
接触Ⅰ③
2025/08/30 22:36
接触Ⅰ④
2025/08/31 22:43
接触Ⅰ⑤
2025/09/01 22:10
接触Ⅰ⑥
2025/09/03 00:19
接触Ⅰ⑦
2025/09/04 00:07
接触Ⅰ⑧
2025/09/04 23:29
接触Ⅰ⑨
2025/09/05 23:47
接触Ⅰ⑩
2025/09/06 23:49
接触Ⅰ⑪
2025/09/07 22:46
接触Ⅰ⑫
2025/09/08 23:14
接触Ⅰ⑬
2025/09/09 23:43
接触Ⅰ⑭
2025/09/10 23:08
接触Ⅰ⑮
2025/09/11 23:13
接触Ⅰ⑯
2025/09/12 23:59
接触Ⅰ⑰
2025/09/14 05:46
接触Ⅰ⑱
2025/09/15 00:02
接触Ⅰ⑲
2025/09/16 00:06
いくつかの事件④
2025/09/24 06:09
いくつかの事件⑤
2025/09/24 23:42
新たな依頼①
2025/10/07 23:49
新たな依頼②
2025/10/09 22:35
新たな依頼③
2025/10/10 22:13
新たな依頼④
2025/10/12 00:40
新たな依頼⑤
2025/10/12 19:19
新たな依頼⑥
2025/10/13 22:10
新たな依頼⑦
2025/10/15 00:29
新たな依頼⑧
2025/10/16 05:36
新たな依頼⑨
2025/10/17 00:10
新たな依頼⑩
2025/10/17 22:54
新たな依頼⑪
2025/10/18 23:27
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