天蓋の点検口 〜転生した空調設備工は、世界の竣工図を描く〜
最終エピソード掲載日:2026/10/12
「見えなきゃ無いのと同じだ」
元請の所長にそう言われ、空調設備工・灰原透は今夜も黙って天井を閉じた。
逆勾配のドレン管。設計図を写しただけの嘘の竣工図。そのせいで足を折った老女と、責めを負って業界を去った後輩。
誰にも言えないまま、彼は五十一度の天井裏で命を落とす。
目を覚ましたのは、千年前に〈造り手〉が築いた結晶の天蓋に覆われた世界。
灰原が得た力は、空気の流れが色の線になって見える目——ただそれだけだった。
名前を持たない〈影働き〉の少女ネリ。記録院の書記エルナ。療院長ベルタ。
煙が逆流する家、菌の巣になった聖泉塔、戻り道を塞がれた病棟の炉。
灰原は腰袋の水平器とドライバーで、見えない場所をひとつずつ直していく。
だが、天蓋の亀裂を〈封〉で塞いで回る英雄・総監は、あの夜の所長だった。
そして亀裂の底には、どれも同じ「百分の一」の勾配がついていた。
あれは割れ目ではない。世界が息を吸うための口なのではないか——。
黙って直すことしか知らなかった職人が、世界の"竣工図"を描くまでの物語。
(全24話・完結済み)
元請の所長にそう言われ、空調設備工・灰原透は今夜も黙って天井を閉じた。
逆勾配のドレン管。設計図を写しただけの嘘の竣工図。そのせいで足を折った老女と、責めを負って業界を去った後輩。
誰にも言えないまま、彼は五十一度の天井裏で命を落とす。
目を覚ましたのは、千年前に〈造り手〉が築いた結晶の天蓋に覆われた世界。
灰原が得た力は、空気の流れが色の線になって見える目——ただそれだけだった。
名前を持たない〈影働き〉の少女ネリ。記録院の書記エルナ。療院長ベルタ。
煙が逆流する家、菌の巣になった聖泉塔、戻り道を塞がれた病棟の炉。
灰原は腰袋の水平器とドライバーで、見えない場所をひとつずつ直していく。
だが、天蓋の亀裂を〈封〉で塞いで回る英雄・総監は、あの夜の所長だった。
そして亀裂の底には、どれも同じ「百分の一」の勾配がついていた。
あれは割れ目ではない。世界が息を吸うための口なのではないか——。
黙って直すことしか知らなかった職人が、世界の"竣工図"を描くまでの物語。
(全24話・完結済み)
第一章 天井裏
2026/10/12 03:50
第二章 点検口
2026/10/12 03:51
第三章 給気と排気
2026/10/12 03:51
第四章 冷却塔
2026/10/12 03:52
第五章 試運転
2026/10/12 03:52
第六章 作業員名簿
2026/10/12 03:52
第七章 元請
2026/10/12 03:52
第八章 勾配
2026/10/12 03:53
第九章 窒素置換
2026/10/12 03:53
第十章 干渉チェック
2026/10/12 03:53
第十一章 還気
2026/10/12 03:53
第十二章 歩掛
2026/10/12 03:53
第十三章 ショートサーキット
2026/10/12 03:53
第十四章 結露
2026/10/12 03:53
第十五章 KY
2026/10/12 03:53
第十六章 隠蔽部
2026/10/12 03:53
第十七章 系統
2026/10/12 03:53
第十八章 防火ダンパー
2026/10/12 03:54
第十九章 赤入れ
2026/10/12 03:54
第二十章 竣工図
2026/10/12 03:54
第二十一章 サージング
2026/10/12 03:54
第二十二章 竣工検査
2026/10/12 03:54
第二十三章 引き渡し
2026/10/12 03:54
第二十四章 蓋の裏
2026/10/12 03:54