星は昴?ーそれでも僕は彼女を守りたかったー
最新エピソード掲載日:2026/04/26
「女神だと思っていた少女は、人間だった。」
剣道部に所属する高校生・天笠昴は、いつも女難に振り回される冴えない少年だった。
気が強い女性ばかりに囲まれ、家では家事を押し付けられ、学校でも都合よく扱われる日々。
そんな彼が唯一抱いていた願いはただ一つ。
――「静かで優しい、大人しい女の子と出会いたい」
ある日、疲れ切った昴は車庫行きの電車で眠り込む。
そこで出会ったのが、少女・小暮鈴だった。
偶然触れた肩、ふと見上げた笑顔。
その一瞬は、昴にとって“女神”そのものだった。
しかし、運命は甘くない。
再会した鈴は、昴の幻想とは正反対の少女だった。
強く、冷たく、そしてどこか壊れた現実主義者。
「私は女神じゃない。人間よ」
その言葉は、昴の中にあった“理想の少女像”を容赦なく打ち砕く。
だが鈴には、誰にも言えない現実があった。
父の蒸発、母の失踪。
残されたのは幼い双子の弟たちだけ。
生きるために、彼女は「選ばざるを得なかった道」を歩いていた。
そしてその歪んだ日常は、やがて“見えない悪意”に絡め取られていく。
――ストーカー教師。
優しい仮面の裏に狂気を隠した男は、鈴の人生を静かに侵食し始める。
無言電話、尾行、盗撮、噂、孤立、そして誘拐。
「愛している」という言葉が、最も危険な呪いに変わるとき、
少女の世界は崩壊寸前まで追い詰められていく。
そのとき、冴えないはずの少年は“剣を持つ者”として目覚める。
弱く、情けなく、何も守れないと思っていた昴。
しかし彼は気づいていく。
――守るという行為だけが、人を強くするのだと。
恐怖に震える少女と、女難に怯えていた少年。
二人はそれぞれの“弱さ”を抱えながら、
崩壊する現実の中で、互いに唯一の支えとなっていく。
やがて訪れる最上階の対峙。
愛が歪み、執着が狂気に変わった男との決着の中で、
鈴は選ぶ。
「私はただ、生きたかっただけ」
その一言が、狂気を止める鍵となる。
そして昴もまた知る。
女神などいなかった。
救うべきは幻想ではなく、“目の前の人間”だったのだと。
これは――
女神を探していた少年が、人間を守る物語。
そして、人間だった少女が、誰かに守られることを初めて許す物語。
星は昴。
音は鈴。
バラバラに見えた二人は、
確かに引き合っていた。
――それでも僕は、彼女を守りたかった。
プロローグ 星はまだ名を知らない
2026/04/25 08:52
第1部 女神のイメージ 第1章 車庫行き列車の眠り
2026/04/25 16:57
第2章 女神の素顔
2026/04/26 09:26
第3章 昴の日常と女難
2026/04/26 20:05