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星は昴?ーそれでも僕は彼女を守りたかったー  作者: 村松希美


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第5部 守るという選択   第1章 守ると決めた日




「……大丈夫?」

その一言に、鈴の肩がわずかに揺れた。


(……気づかれた)

ほんの一瞬、そう思う。

でも、すぐに顔を上げる。

いつもの顔。

何もなかったような顔。


「何が?」

声も、普段通り。

完璧に。


(バレてない)

そう思おうとする。


でも。

昴は、じっと見ていた。

逃げない視線で。

探るようでもなく、責めるようでもなく。

ただ、まっすぐに。


「……顔色、悪い」


(やめて)

その言葉が、胸に刺さる。

軽い一言のはずなのに。

妙に、深く。


(見ないで)

内側を。

壊れかけているところを。


でも。

言葉は違う方向に出る。

「別に。寝不足なだけ」


短く。

切るように。

距離を保つための言い方。

(これで終わる)

そう思った。


でも。

「嘘だろ」

即答だった。

間髪入れず。


(……なんで)

予想外すぎて、一瞬、思考が止まる。


「鈴、お前さ」

昴が一歩近づく。

距離が、詰まる。


(来ないで)

反射的にそう思う。

でも、足が動かない。


「……何かあったろ」

その声は強くない。

怒ってもいない。


でも。

逃げ場を塞ぐような、静かな圧がある。


(言えるわけない)

こんなこと。


無言電話。

視線。

ポストの紙。

全部。

言葉にした瞬間、“現実”になる気がする。


(怖い)

認めるのが。


だから。

「ないって言ってるでしょ」

少し強くなる。

防御。

いつものやり方。


でも。

昴は引かなかった。


「じゃあ、なんで震えてんだよ」

(……え)

自分の手を見る。

指先が、わずかに揺れている。


(嘘……)

気づいてなかった。

隠せていると思っていた。


(バレてる)

その事実が、一気に不安を広げる。


「震えてない」

反射的に否定する。


でも。

説得力はない。

自分でも分かる。


「鈴」

名前を呼ばれる。

それだけで、胸がざわつく。


「一人で抱えんな」

(……やめて)

その言葉は、反則だ。


一番触れられたくないところに、触れてくる。


「関係ないでしょ」

冷たく言う。

突き放す。

それしか方法を知らない。


「ある」

即答。

迷いがない。


(なんで)

どうしてそんなに、まっすぐ言えるのか。


「お前、あの時さ」

昴の声が、少しだけ低くなる。

「あぶねぇ目に遭っただろ」


(……っ)

ホテルの前。

あの時の記憶が、よみがえる。

掴まれた腕。

逃げられない距離。

(やめて)

思い出したくない。


でも。

「そのあとも、何もないわけない」

言い切る。

断定。


(どうして)

そこまで分かるのか。


「……別に」

弱くなる声。

自分でも分かる。

もう、保てていない。


「鈴」

もう一度、名前。

今度は、少しだけ優しい。


「俺、バカだけどさ」

自嘲気味に笑う。

「こういうの、分かる」


(分かるわけない)

そう思うのに。

否定できない。


「怖いんだろ」

その一言で。

――崩れた。


「……っ」

息が、詰まる。

喉の奥が、締まる。


(言うな)

それだけは。

自分でも見ないようにしていた言葉。

「怖くない」

反射的に出る。

でも。

もう遅い。


「怖いよな」

優しく、重ねられる。

否定を、上書きされる。


「一人で、ずっと」


(やめて……)

もう、無理だった。


「……っ、」

声にならない。


何かが、こみ上げる。

押さえていたものが、全部。

溢れそうになる。

(泣くな)

必死に耐える。


でも。

「……なんで、分かるのよ」

絞り出すような声。

震えている。

隠せない。


「見てれば分かる」

簡単に言う。


でも。

その言葉が、刺さる。

(見てた……?)

自分を。

ちゃんと。


「お前さ」

昴が、少しだけ目を細める。

「無理してる顔、してる」


(……そんな顔)

してたんだ。

自分では気づいていなかった。


「大丈夫なフリ、うまいけど」

少しだけ、笑う。

「バレてるぞ」

(……最悪)


でも。

同時に。

どこかで。

(……楽)

そう思ってしまう。

気づかれたことに。

見抜かれたことに。

「……っ」

堪えていたものが、揺れる。


「言えよ」

静かに。

でも、逃がさない声。

「何があったか」


(言ったら)

終わる気がする。


でも。

(もう無理)

一人では。

限界だった。


「……電話」

ぽつりと出る。

自分でも驚くくらい、小さい声。


でも。

止まらない。

「毎日……かかってくるの」


昴の表情が変わる。


「出ても……何も言わない」

言葉にするたびに、現実になる。


でも。

止められない。

「でも……いるの」

震える。

思い出すだけで。


「分かるの……誰かが……」

呼吸が乱れる。

「見られてる気がして……」

声が、崩れる。

「帰り道も……家でも……」

(やだ)

全部出てくる。

止まらない。

「怖いの……」

その一言で。

完全に、崩れた。


沈黙。

数秒。

でも、長く感じる。

昴は、何も言わなかった。


ただ。

一歩、近づく。

距離が、なくなる。

(……逃げない)

なぜか、そう思った。


「……そっか」

短く。

それだけ。


でも。

その声には、軽さがなかった。


「分かった」

何かを決めた声。

はっきりと。


(……何を?)

鈴が顔を上げる。


昴の目は――

今まで見たことがないほど、強かった。

「俺が守る」


(……え)

一瞬、意味が分からない。

「もう、一人にしない」


はっきりと。

迷いなく。


「絶対に」

その言葉は。

軽くなかった。

逃げでも、慰めでもない。

覚悟だった。


(……なんで)

どうしてそこまで。

自分のために。


でも。

胸の奥で。

何かが、ほどける。

張り詰めていたものが。

少しだけ。

(……信じていいの?)

その問いが、浮かぶ。

怖い。


でも。

「……バカ」

小さく言う。

涙を隠すように。

「巻き込まれるよ」

いつもの言い方。


でも。

弱い。

「いいよ」

即答。

「最初からそのつもりだし」

少し笑う。


(……ほんとに)

この人は。

バカだ。


でも。

「……後悔しても知らない」

そう言いながら。

ほんの少しだけ。

鈴の肩の力が、抜けた。


完全じゃない。

怖さも消えない。


でも。

(……一人じゃない)

その感覚が。

確かに、そこにあった。








草稿を入力してAIが書きました。


ストーカーやいじめられても味方がいたら気持ちが少しは楽になりますよね。


現実世界のそれらも力になってくれる人がいたら、自殺まで考えないでしょうね。


Xでは、いじめを犯罪にして法整備を!という声が高まってきていますね。


子どもや若者たちが自殺するような国はやはり問題がありますね。

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