表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星は昴?ーそれでも僕は彼女を守りたかったー  作者: 村松希美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/24

第2章 双子との時間




「ただいまー!」


ドアが勢いよく開いた。

小さな足音が、ぱたぱたと床を駆ける。


「おかえりー!」「おなかすいたー!」

同時に飛びついてくる二つの体。

鈴は、少しだけよろけた。


「ちょっと、待ってってば……」

その声には、いつもの強さがなかった。

疲れが、滲んでいる。


(……大丈夫?)

昴は、その様子を少し後ろから見ていた。


部屋の中は、思っていた通り――いや、それ以上だった。


床にはおもちゃ。

脱ぎっぱなしの服。

テーブルの上には、食べかけのお菓子の袋。


(……すごいな)

正直な感想が、まずそれだった。

綺麗じゃない。

整ってもいない。


でも。

(……生きてる)

そう感じた。

生活の匂い。

必死に回している日常。


「昴、そこ突っ立ってないで、入って」

鈴が振り返る。

いつもの調子に戻そうとしているのが分かる。


「……ああ」

靴を脱ぐ。

少しだけ緊張している自分に気づく。


(他人の家、ってこんな感じか)

しかも。

(責任のある場所)

ただの訪問じゃない。


自分は――

(守るって言った)

その言葉が、ふと頭をよぎる。

(……できるのか、俺)

一瞬、不安がよぎる。


でも。

「おにいちゃん、だれー?」

小さな声。

振り向くと、双子の一人がじっと見ていた。

警戒半分、興味半分の目。


「あー……えっと」

言葉に詰まる。

何て説明すればいいのか。


(俺は何なんだ?)

助けた人?

知り合い?

それとも――


「……友達」

鈴が先に言った。

短く。

少しだけ迷いながら。


「そっかー!」

あっさり納得する双子。

その無邪気さに、少しだけ肩の力が抜ける。


「おにいちゃん、ごはんつくれる?」

いきなりの質問。


「え?」

「おなかすいた!」

「ぼくも!」

二人同時。

「ちょっと待ってよ!」

鈴が慌てる。


でも。

(……疲れてる)

分かる。

声で。

動きで。

ほんのわずかな間で。


「……僕、やる」

気づけば、口に出していた。


「え?」

鈴が振り向く。

驚いた顔。


「作れるし」

本当は、少しだけ不安だった。

でも。

(やるって決めた)

守るって。

それは、こういうことだ。


「……いいの?」

遠慮と、戸惑いが混じった声。

「いい」

短く答える。

それ以上言うと、揺らぎそうだった。


「……じゃあ、お願い」

その一言が、妙に重く感じた。

(任された)

ただの料理じゃない。

生活の一部。

それを預けられた。


キッチンに立つ。

冷蔵庫を開ける。

中身は――

(……少ないな)

必要最低限。

工夫しないと、足りない。

(やるしかない)


手を動かす。

包丁を持つ。


その瞬間――

少しだけ、心が落ち着く。

(……あれ)

似ている。

剣を持った時と。

集中。

余計なことを考えない状態。

(できる)

そう思えた。

背後から、声がする。


「おにいちゃん、すごい!」

「ほんとにできるんだ!」

振り向くと、双子が目を輝かせていた。

(……単純だな)

でも。

その視線が、悪くないと思った。


「危ないから、離れてろ」

少しだけ強く言う。

自然と。

(……あれ)

今までの自分なら、こんな言い方できなかった。

でも今は、違う。

(守る側)

その意識が、言葉を変えている。


「はーい!」

素直に離れる二人。


その様子を見て。

(……責任、か)

改めて感じる。


火を使う。

刃物を使う。

小さなミスが、危険になる。

(ちゃんとやらないと)

自然と、動きが丁寧になる。


その間。

鈴は、少し離れた場所で座っていた。

何もしていない。

ただ、見ている。


(……動かない)

珍しい。

いつもなら、全部自分でやるはず。

でも今は。

(任せてる)

その事実に、少しだけ驚く。


「……ありがとう」

ぽつりと、鈴が言う。

小さな声で。


(……聞こえた)

でも、あえて返さない。

振り返らない。


(今、言うと)

何かが変わりすぎる気がした。


代わりに。

「できたぞ」


料理をテーブルに並べる。

簡単なもの。

でも、温かい。


「いただきまーす!」

双子が一斉に手を伸ばす。

「ちゃんと座って!」

鈴が叱る。


そのやりとりを見て。

(……普通だ)

どこにでもある光景。

でも。

(これを守るってことか)

そう思った。


何気ない日常。

それが、どれだけ脆いか。

もう知っているから。


「おいしい!」

「ほんとだ!」

無邪気な声。


その瞬間。

胸の奥が、じんわりと温かくなる。

(……悪くない)

むしろ。

(いいな)

そう思ってしまう。

ちらりと鈴を見る。


鈴は――

少しだけ、笑っていた。

いつもの強がった笑顔じゃない。

ほんの少し、力の抜けた。

安心したような顔。


(……こんな顔、するんだ)

初めて見た気がした。

その時。

昴の中で、何かがはっきりする。

(守る)

それは、戦うことだけじゃない。

こういう時間を。

この空気を。

壊させないこと。


(……俺がやる)

静かに、決める。

派手じゃなくていい。

強くなくてもいい。

でも。

「続ける」

それだけは、できる。


「おにいちゃん、また来て!」

双子が言う。

無邪気に。

迷いなく。


「……ああ」

自然に、頷く。

その横で。

鈴が、少しだけ視線を落とす。


(……頼ってる)

そのことに、自分でも気づいている顔。

でも、否定はしない。

「……次は、もうちょっとマシな材料用意しとく」

ぼそっと言う。

照れ隠しみたいに。


「十分だろ」

昴が返す。

短く。

でも。

そのやりとりが、少しだけ心地いい。

完璧じゃない。

問題も消えていない。

恐怖も、まだある。


でも。

(ここにいる)

一人じゃない場所が。

確かに、できていた。





草稿を入力してAIが書きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ