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星は昴?ーそれでも僕は彼女を守りたかったー  作者: 村松希美


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第3章 二度目の出会いの意味




夜道を歩きながら、鈴は何度も振り返りそうになる自分を抑えていた。


(……来てないよね)

足音はしない。

人の気配もない。


それでも。

(なんで、こんなに気になるの)

さっき別れたばかりの背中――

昴の姿が、頭から離れなかった。


(ただのクラスメイトでしょ)

そう思う。

同じ学校。

同じ制服。

それだけの関係。

(それだけの、はず)

なのに。


(なんで……)

胸の奥に、妙な引っかかりが残っている。

助けられたから?

違う。

それだけじゃない。


(あの時の目……)

思い出す。

男に掴まれた瞬間。

どう動くか計算していた自分。

どこまでなら大丈夫か、線を引いていた自分。

そこに割り込んできた声。


「離せよ」

あのときの昴の目。

(あんな目、する人だったっけ)

普段の昴は、もっと曖昧な顔をしている。

どこか自信がなくて、周りに流されて。

なのに、あの瞬間だけ。

(迷ってなかった)

怖がっていたはずなのに。

それでも、引かなかった。

(……変なの)


家に着く。

ドアを開ける。


「おかえりー!」

双子の声が飛び込んでくる。

その瞬間、鈴の思考は途切れる。


「……ただいま」

靴を脱ぐ。

部屋に入る。

散らかった床。

温かい空気。


(戻ってきた)

自分の場所に。


「今日ね、これ作った!」

「見て見て!」

二人が話しかけてくる。

鈴はしゃがみ込む。

「ちょっと待って、順番にね」

笑う。

自然に、笑える。

(……大丈夫)

ここでは、ちゃんと自分でいられる。


でも。

ふとした瞬間に、よぎる。

「離せよ」

(……なんで、あんなこと)


夕食の準備をしながら、考えてしまう。

包丁を握る手が、少しだけ止まる。


(普通、関わらないでしょ)

ああいう場面で。

面倒に巻き込まれるだけ。


(私だって、そうしてきた)

危ないと思ったら、距離を取る。

深入りしない。

それが、生きるためのルール。

なのに。


(あいつは、入ってきた)

迷わず。

計算もせず。

(損しかしないのに)

その行動が、理解できない。

理解できないものは、怖い。


(……信用できない)

そう思う。

思うはずなのに。

(でも……)


フライパンの音が、少しだけ遠くなる。

(助かったのは、本当)

あのままだったら。

もう少し遅れていたら。

(……どうなってたか)

想像を途中で止める。

(考えない)

意味がない。


でも。

(あの人、知ってるのかな)

自分が何をしているか。

どうやってお金を稼いでいるか。


もし知ったら。

(どう思うんだろ)

軽蔑する?

引く?


それとも――

「慣れてるから」

自分が言った言葉を思い出す。

(あの顔……)

昴の表情。

驚きと、少しの苛立ち。

「慣れるなよ」

(……勝手なこと言うな)

心の中で反発する。


(慣れなきゃ、やっていけないんだよ)

そうしないと、壊れる。

そうしないと、続かない。

(何も知らないくせに)


でも。

ほんの少しだけ。

引っかかる。

(じゃあ……)

手が止まる。


(慣れなくてもいい方法、知ってるの?)

答えは、出ない。



夜。

二人が寝たあと。

鈴は一人、部屋の隅に座っていた。

静かな時間。


(……私)

膝を抱える。

今日のことを、思い返す。

助けられた瞬間。

走った時間。

別れ際の会話。

「これは、私の問題だから」

あの言葉。


(本当?)

自分で言ったくせに、どこかで疑う。

(本当に、一人でやるしかない?)

ずっとそう思ってきた。

そうじゃないと、生きてこれなかった。


でも。

(もし……)

頭に浮かぶ。

あの、迷いのない目。


(ああいう人が)

自分の側にいたら。

(……バカみたい)

すぐに打ち消す。


ありえない。

そんな都合のいい話。

(期待するな)

強く、自分に言い聞かせる。

期待は、裏切られる。

それを、もう知っている。


でも。

胸の奥に、ほんの小さな違和感が残る。

(なんで……消えないの)

その違和感は、希望に似ていた。


でも、まだ名前をつけるには早すぎた。

鈴はゆっくりと目を閉じる。


(あの人は……)

敵でもない。

味方とも言えない。

ただ――

(分からない人)

それが、一番正直な答えだった。


そして。

その「分からなさ」が。

鈴の心を、わずかに揺らしていた。







草稿を入力してAIが書きました。

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