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星は昴?ーそれでも僕は彼女を守りたかったー  作者: 村松希美


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第6部 崩壊と対峙  第1章 誘拐




「……ただいま」

返事はなかった。


その違和感に、鈴は一瞬で気づいた。

(……静かすぎる)


いつもなら、ドアを開けた瞬間――

「おかえりー!」 「おなかすいたー!」

あの声が飛んでくるはずなのに。


今日は、何もない。

空気が、止まっている。


「……?」

靴を脱ぐ手が、わずかに止まる。


(寝てる……?)

そう思おうとする。


でも。

胸の奥が、ざわつく。

(違う)

嫌な予感が、先に来る。


「……ねえ?」

部屋に入る。

リビング。

誰もいない。

散らかったままの部屋。


でも。

(おかしい)

違和感が、積み重なる。

ランドセルが、床に落ちている。

片方だけ。

靴も、揃っていない。


(こんなこと……)

ない。

あの子たちは、こんな置き方をしない。


「……っ!」

心臓が、一気に跳ねる。


(どこ?)

奥の部屋。

開ける。


――いない。

トイレ。

――いない。

風呂。

――いない。


(うそ……)

呼吸が、速くなる。


「ねえ……っ!」

声が大きくなる。


でも。

返事はない。

沈黙だけが返ってくる。


(どこ行ったの……?)

頭の中が、白くなる。

考えが、まとまらない。


そのとき。

視界の端に、紙が映った。

テーブルの上。

白い紙。


(……これ)

ゆっくり近づく。

手が、震える。


(見たくない)

でも、見ないといけない。

紙を持つ。

開く。


そこに書かれていたのは――

「私の言うことを聞かなければ、この子たちはどうなるか分かるな」


(……っ)

一瞬、意味が理解できない。

でも。

次の瞬間。

全部、繋がる。

無言電話。

視線。

白紙の紙。


(あいつだ)

確信だった。

思考じゃない。

本能。


(あいつが……)

体が、冷える。

指先から。

血の気が引く。


「……うそ……」

声が、かすれる。

(どうしよう)

何も分からない。

どこにいるのか。

どうすればいいのか。


(どうしたら……)

頭が、ぐるぐる回る。

でも。

一つだけ、浮かぶ。


(昴……)

気づけば、スマホを掴んでいた。

震える手で、番号を押す。


コール音。

一回。

二回。

三回。


(出て……お願い……)

四回目で、繋がる。


「もしもし?」

その声を聞いた瞬間――


「昴……っ!」

堰が切れた。

「いないの……っ」

声が、崩れる。

「弟たちが……いないの……!」


沈黙。

一瞬。

でも、すぐに。

「落ち着け」

低い声。

でも、強い。


「何があったか、全部言え」

その言葉に、呼吸が少し戻る。


(落ち着け……)

必死に、自分に言い聞かせる。


「紙が……置いてあって……」

言葉を繋ぐ。

震えながら。

「連れていかれた……」

言い終えた瞬間。

また、恐怖が押し寄せる。


(どうしよう……)

でも。

昴は、迷わなかった。

「今、行く」

即答。

一切の躊躇もなく。

「外に出るな」

その一言で、空気が変わる。

「俺が行くまで、そこで待て」


(……来る)

その確信が、胸に灯る。

小さく。

でも、確実に。

「……うん」

初めて、素直に頷く。


通話が切れる。

静寂が戻る。

でも、さっきとは違う。


(……一人じゃない)

それだけで、少しだけ息ができる。


数分後。

玄関のドアが、勢いよく開く。


「鈴!」

昴だった。

息を切らしている。

全力で走ってきたのが分かる。


「昴……!」

顔を見た瞬間。

力が抜けそうになる。


でも。

「紙、どこだ」

すぐに現実に戻る声。

鈴は紙を差し出す。

昴はそれを一瞬で読み取る。


(……やっぱり)

表情が、変わる。


「来る」

短く言う。

「連絡が来るはずだ」

(……分かるの?)

驚く。

でも。

その顔は、迷っていない。


数秒後。

――ピリリリリ……

スマホが鳴る。

見知らぬ番号。


(……来た)

手が、震える。

出られない。

怖い。


でも。

「出ろ」

昴が言う。

「俺がいる」

その一言で。

指が動いた。

通話ボタンを押す。


「……もしもし」

沈黙。

そして。

あの声。

低く、粘つくような声。


「やっと繋がったな」

背筋が、凍る。

(この声……)

間違いない。

「弟は預かっている」

淡々とした声。

感情がない。

それが、逆に怖い。


「返してほしければ、一人で来い」

(……一人?)

心臓が跳ねる。

「場所は後で送る」

「来なければ……分かるな?」

(やめて……)

声が出ない。


でも。

「分かった」

気づけば、そう答えていた。

自分でも驚くくらい、はっきりと。

通話が切れる。


沈黙。

重い沈黙。

「……行くのか」

昴が言う。

確認じゃない。

分かっている声。


「行く」

即答。

迷いはなかった。

怖い。

震えてる。

それでも。

「私が行かなきゃ……」

言葉が、固まる。


(守る)

その意味が、今、はっきりしている。

「弟たちが……」

その先は言えない。

でも、十分だった。


昴は、少しだけ目を閉じる。

考える。

そして。

「俺も行く」

(……え)

顔を上げる。

「ダメ」

反射的に言う。

「危ない」

当然だ。

巻き込めない。


「関係ないだろ」

昴は、静かに言う。

でも。

その声には、揺るぎがない。

「言っただろ」

一歩、近づく。

「守るって」


(……あ)

あの時の言葉。

重みが、今になってのしかかる。

「一人で行かせるわけない」

断言。

逃げ道を与えない。


(……バカ)

本当に。

でも。

「……後悔しても知らない」

小さく言う。

最後の抵抗。


「しない」

即答。

迷いなし。

その目は――

もう、決まっていた。

鈴は、ゆっくりと息を吸う。


(……行く)

怖い。

でも。

逃げない。

一人じゃない。

それだけで。

足が、前に出る。


こうして――

日常は、完全に崩壊した。

そして。

本当の戦いが、始まる。










草稿を入力してAIが書きました。


ストーカー男って何をするか分からないですよね。大体相手の女性に矛先が向かうことが多いですが、教師になってまでストーカーするこの男だから、双子の幼い弟たちを狙ったのでしょう。

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