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心の闇があらわれる

作者:和泉 きよ
最終エピソード掲載日:2026/10/08
中学生になった朝倉直人は、かつては誰とでも話せる活発な少年だった。

しかし、中学校では偶然隣の席になった生徒をきっかけに、
次第に人との距離を置くようになっていた。

「僕は悪いことをしていない」

そう自分に言い聞かせながら、誰とも関わらず、傷つかないように生きる直人。

そんなある夜、忘れ物を取りに戻った学校で、直人は一人の少女と出会う。

彼女の名前は澪。

昼間の学校では多くの人に慕われる存在でありながら、夜の学校では銃を手にして、誰も知らない『闇』と呼ばれる存在と戦っていた。

それは、人間の心の奥に隠された感情から生まれるものだった。

嫉妬。

寂しさ。

劣等感。

怒り。

誰かに認められたいという願い。

自分でも認めたくない感情が形となり、学校のどこかに姿を現す。

そしてなぜか、周囲から孤立している直人にも、その『闇』を見る力と、それと戦うための武器が与えられる。

昼間は誰からも必要とされない。

けれど夜になると、澪と二人で誰かの心の奥に生まれた闇と向き合うことができる。

その奇妙な時間を過ごすうち、直人は少しずつ人間の心について考えるようになる。

善人だと思っていた人にも、醜い感情がある。

優しい行動の中にも、誰かに必要とされたいという願いが隠れている。

誰かを嫌うことと、誰かを傷つけることは同じではない。

そして、人を知るということは、その人の知られたくない部分まで知ってしまうことでもある。

闇を知るたびに、直人の中で『人間とは何なのか』という疑問は大きくなっていく。

一方、いつも誰かを助けようとする澪にも、誰にも語らない思いがあった。

「人を助けることは、本当に純粋な優しさなのだろうか」

「自分の中にある醜い感情を知っていれば、人は善い人間なのだろうか」

「誰かを嫌うことは悪いことなのか」

そして――。

これまで他人の心の闇ばかりを見つめてきた直人自身もまた、自分の心から目を背けられなくなっていく。

これは、学校という身近な世界を舞台に、誰もが心の奥に抱えている『見たくない感情』と向き合う少年少女の物語。

人間は、本当に善人なのか。

それとも、誰もが心の中に『闇』を抱えているのか。

答えのない問いを抱えながら、直人と澪は夜の学校を歩いていく。
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