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婚約破棄で追放された白薔薇は、いちばん敵に回してはいけない悪女でした ~彼女は自ら手を下さない~

作者:鷺沼鳩屋
最新エピソード掲載日:2026/09/15
レグリエ王国の公爵令嬢セラフィーナ・アルディエールは、美しく、聡明で、慈善にも熱心な王太子の婚約者。

人々は彼女を「アルディエールの白薔薇」と呼んだ。

だが、隣国ノルディアから一人の公爵令嬢が訪れたことで、王都の空気は少しずつ変わり始める。

悪意の証拠はない。
罪を犯した事実もない。
それでも国家は、国境の安定と交易のためにセラフィーナを切り捨てることを選んだ。

そして、彼女を誰より理解しているはずの王太子アドリアンまで言う。

「君なら、国のために分かってくれる」

婚約は破棄。
王宮から排除。
そして国外退去。

隣国の令嬢エステルは望んだものをすべて手に入れ、王太子の隣へ立った。

完全な勝利だった。

ただ一つ、彼女たちは知らなかった。

追放した女が、本当に「善良な白薔薇」だったわけではないことを。

セラフィーナは人を読む。
市場を読む。
国家を読む。
そして一度構造を理解すれば、自分で手を汚す必要すらない。

命令しない。
脅迫しない。
可能なら嘘さえつかない。

ただ、相手が自分自身で選びたくなる道を用意する。

その選択の先が、破滅へ続いているだけ。

祖国にも、隣国にも戻るつもりはない。

追放先のグランデルで、白薔薇は静かに新しい盤を広げ始める。

王国で最も敵に回してはいけなかった女を、自分たちの意思で敵に回した者たちの物語。
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