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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

偽りの王女は、王国を滅ぼしたくない

作者:安威要
最終エピソード掲載日:2026/11/02
人間の王国を滅ぼすため、第二王女エルシアと入れ替えられた一体のドッペルゲンガー。

魔族に捕らえられ、王女の姿、声、仕草を叩き込まれた彼女には、自分の名前すらなかった。

本来なら潜入後、本物の王女を喰らい、その記憶まで奪って「完全なエルシア」になるはずだった。

だが計画の途中、王宮側の魔族責任者が人間たちに討たれてしまう。

命令は途絶えた。
本物の王女がどうなったのかも分からない。
王宮には、偽物の王女だけが取り残された。

逃げてもいい。

けれど、ここには暖かい部屋がある。
毎日の食事がある。
そして自分を「殿下」と呼んでくれる人々がいる。

――ここを失うのは、困る。

そこで彼女は、魔族が残した「王国を滅ぼすための調査資料」を読み始める。

食糧供給の弱点。
金で買収できる官吏。
国境防衛の穴。

滅ぼす方法が分かっているのなら、逆に全部塞いでしまえばいい。

こうして偽りの王女は、自分の居場所を守るため、王国を救い始める。

だが働けば働くほど人々から信頼され、同時にひとつの疑問も膨らんでいく。

――以前の殿下は、こんな方だっただろうか?

これは、誰かの偽物として生き始めた怪物が、自分自身の居場所を手に入れるまでの物語。

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