街角ノクターン【拡張完全版・全28話】 五十五歳の父が、三十三年ぶりに鍵盤の前に座るまでの話
最終エピソード掲載日:2026/10/25
村上誠一、五十五歳。
エフティ建材の営業部次長。
家では「いればいる」程度の存在で、職場では「なんでもやってくれる人」として二十七年が過ぎた。
帰り道の駅ビルで、偶然、街角ピアノと出会う。
三十三年間、誰にも言わなかった。
ショパン国際ピアノコンクール三位。
一九九三年の秋、恩師が亡くなった夜にステージで止まったこと。
それからずっと、鍵盤に触れなかったこと。
だが、四小節が鳴った。
動画が拡散し、家族が初めて父を「見た」。
妻・久美子が「止まったことと逃げたことは違う」と言った。
息子・翔が部屋に来て楽譜を眺めた。
娘・麻央が「分からんのに弾くの?大人はそういうことをするのか」と聞いた。
命日の演奏会まで、一ヶ月。
先生が「心の声だ」と言い続けた曲・・ショパン夜想曲第二十番を、三十三年分の沈黙の後に弾く。
止まっても、立ったことは残る。
エフティ建材の営業部次長。
家では「いればいる」程度の存在で、職場では「なんでもやってくれる人」として二十七年が過ぎた。
帰り道の駅ビルで、偶然、街角ピアノと出会う。
三十三年間、誰にも言わなかった。
ショパン国際ピアノコンクール三位。
一九九三年の秋、恩師が亡くなった夜にステージで止まったこと。
それからずっと、鍵盤に触れなかったこと。
だが、四小節が鳴った。
動画が拡散し、家族が初めて父を「見た」。
妻・久美子が「止まったことと逃げたことは違う」と言った。
息子・翔が部屋に来て楽譜を眺めた。
娘・麻央が「分からんのに弾くの?大人はそういうことをするのか」と聞いた。
命日の演奏会まで、一ヶ月。
先生が「心の声だ」と言い続けた曲・・ショパン夜想曲第二十番を、三十三年分の沈黙の後に弾く。
止まっても、立ったことは残る。
第一話 「透明な朝」
2026/09/28 18:00
第二話 「誰も知らない棚」
2026/09/29 18:00
第三話 「娘の誕生日
2026/09/30 18:00
第四話 「コピー機の後継者」
2026/10/01 18:00
第五話 「火曜日と木曜日」
2026/10/02 18:00
第六話 「深夜の鍵盤」
2026/10/03 18:00
第七話 「1993年の楽屋」
2026/10/04 18:00
第八話 「ベンチの老人」
2026/10/05 18:00
(改)
第九話 「久美子、立ち尽くす」
2026/10/06 18:00
第十話 「醤油と、その先」
2026/10/07 18:00
第十一話 「動画、拡散」
2026/10/08 18:00
第十二話 「四分の三拍子」
2026/10/09 18:00
第十三話 「なぜ黙っていたの」
2026/10/10 18:00
第十四話 「一九九三年の話」
2026/10/11 18:00
第十五話 「宮本との約束」
2026/10/12 18:00
第十六話 「宮本の午後」
2026/10/13 18:00
第十七話 「十月の楽譜」
2026/10/14 18:00
第十八話 「宮本の弟子たち」
2026/10/15 18:00
第十九話 「麻央、十一時」
2026/10/16 18:00
第二十話 「先生の生徒たち」
2026/10/17 18:00
第二十一話 「先生の最後の言葉」
2026/10/18 18:00
第二十二話 「出場、逡巡」
2026/10/19 18:00
第二十三話 「震える手」
2026/10/20 18:00
第二十四話 「翔の前夜」 ・・翔の視点
2026/10/21 18:00
第二十五話 「麻央のスマートフォン」 ・・麻央の視点
2026/10/22 18:00
第二十六話 「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
2026/10/23 18:00
第二十七話 「久美子、二度目」 ・・久美子の視点
2026/10/24 18:00
第二十八話 「翌朝のこと、その後のこと」
2026/10/25 18:00