「君を愛することはない」と初夜に言われた伯爵夫人、六年目の朝に婚姻契約書の第十二条を読み上げました ―持参金と一緒に、領の金庫も空になります―
最終エピソード掲載日:2026/10/30
傾いた伯爵家を救うための政略結婚。初夜、夫ユリアンは言った。
「領地が立ち直るまでは妻でいてくれ。だが、君を愛することはない」
リーゼルはうなずいた。
六年、彼女は帳簿を締め、借金を整理し、夫が離れに置いた寵姫の不始末を片づけた。
六年目の朝、リーゼルは婚姻契約書を開く。
第十二条――「婚姻より六年、嫡子なき場合、妻は持参金の全額とともに離縁できる。夫の同意を要しない」
夫は、契約書を読んでいなかった。署名は補佐官に任せていた。
そして持参金は、この六年、伯爵領の運転資金そのものだった。
「どうぞ、お幸せに」
去った先で彼女を待っていたのは、六年間、伯爵家の借金の利子を黙って肩代わりしていた男だった。
「領地が立ち直るまでは妻でいてくれ。だが、君を愛することはない」
リーゼルはうなずいた。
六年、彼女は帳簿を締め、借金を整理し、夫が離れに置いた寵姫の不始末を片づけた。
六年目の朝、リーゼルは婚姻契約書を開く。
第十二条――「婚姻より六年、嫡子なき場合、妻は持参金の全額とともに離縁できる。夫の同意を要しない」
夫は、契約書を読んでいなかった。署名は補佐官に任せていた。
そして持参金は、この六年、伯爵領の運転資金そのものだった。
「どうぞ、お幸せに」
去った先で彼女を待っていたのは、六年間、伯爵家の借金の利子を黙って肩代わりしていた男だった。
第1話 皿が一枚多い
2026/10/12 18:00
第2話 読んだ人の味方
2026/10/12 18:00
第3話 三枠目の馬車
2026/10/12 18:00
第4話 欄干の印
2026/10/13 18:00
第5話 隣領からの善意
2026/10/13 18:00
第6話 前夜
2026/10/13 18:00
第7話 第十二条
2026/10/14 18:00
第8話 空いた枠
2026/10/14 18:00
第9話 風が変わる
2026/10/15 18:00
第10話 為替手形
2026/10/16 18:00
第11話 保留
2026/10/17 18:00
第12話 金庫の底
2026/10/18 18:00
第13話 代
2026/10/19 18:00
第14話 四百グルデン
2026/10/20 18:00
第15話 一割
2026/10/21 18:00
第16話 空欄
2026/10/22 18:00
第17話 今夜、冷える
2026/10/23 18:00
第18話 六年分
2026/10/24 18:00
第19話 読んだ
2026/10/25 18:00
第20話 同意を要しない
2026/10/26 18:00
第21話 関所の石橋
2026/10/27 18:00
第22話 リーゼ
2026/10/28 18:00
第23話 第一条
2026/10/29 18:00
第24話 二人の署名
2026/10/30 18:00