「君は後回しでいい」と言われ続けた婚約者ですが、待たされた三年で王都中の「一番」になっていました ~破棄された翌朝から、玄関に招待状が積み上がっていく~
最終エピソード掲載日:2026/08/02
伯爵令嬢レギーナ、十九歳で婚約。
婚約者の口癖は「君は後回しでいい」。
最初にすっぽかされた観劇の夜、彼女は決めた。
「待つなら、座って待ちません」
待ち時間には作法がある。
その場でいちばん忙しい人の隣に立ち、手を貸し、困りごとを一つ聞いて、次に来るとき答えを持ってくる。
三年後――二十二歳。
借財の完済が届いた晩の夜会で、婚約は破棄された。
「これで君を待たせる理由も、君に待ってもらう理由もなくなった」
ところが、翌朝から。
彼女の玄関に、招待状が積み上がっていく。
「一番にお知らせしたくて」「一番に袖を通してほしくて」
王都の目抜き通りに、彼女を「後回し」にする者は、一人もいなくなっていた。……当の元婚約者を除いて。
そして王都でただ一人、招待状を持って来ない男がいる。
若き公爵ジークヴァルトは、夕暮れの玄関で言った。
「招待状は、持って参りませんでした。あなたの空いた時間は、あなたのものです」
待たされる側から、選ぶ側へ。
三年かけて待ち時間を作法で埋め続けた彼女は、何の予定もない時間の過ごし方だけを、まだ知らない。
ハーメルン、小説家になろう、カクヨムで同時連載中
婚約者の口癖は「君は後回しでいい」。
最初にすっぽかされた観劇の夜、彼女は決めた。
「待つなら、座って待ちません」
待ち時間には作法がある。
その場でいちばん忙しい人の隣に立ち、手を貸し、困りごとを一つ聞いて、次に来るとき答えを持ってくる。
三年後――二十二歳。
借財の完済が届いた晩の夜会で、婚約は破棄された。
「これで君を待たせる理由も、君に待ってもらう理由もなくなった」
ところが、翌朝から。
彼女の玄関に、招待状が積み上がっていく。
「一番にお知らせしたくて」「一番に袖を通してほしくて」
王都の目抜き通りに、彼女を「後回し」にする者は、一人もいなくなっていた。……当の元婚約者を除いて。
そして王都でただ一人、招待状を持って来ない男がいる。
若き公爵ジークヴァルトは、夕暮れの玄関で言った。
「招待状は、持って参りませんでした。あなたの空いた時間は、あなたのものです」
待たされる側から、選ぶ側へ。
三年かけて待ち時間を作法で埋め続けた彼女は、何の予定もない時間の過ごし方だけを、まだ知らない。
ハーメルン、小説家になろう、カクヨムで同時連載中
1. 待つなら、座っては待ちません
2026/07/25 16:51
2. 三年、お預かりしておりました(前編)
2026/07/25 22:30
3. わたくしの色
2026/07/26 08:30
4. 出る幕がありませんの
2026/07/27 13:18
5. 二十年ぶりの頼みごと
2026/07/27 21:30
6. お返事待ちの小机
2026/07/28 08:30
7. 遠回りをします
2026/07/28 17:30
8. 人望は財布ではございませんの
2026/07/29 00:31
9. 生垣の陰
2026/07/29 08:30
10. 三年、お預かりしておりました
2026/07/29 12:20
11. 散歩仲間です
2026/07/29 15:30
12. 貸し出しておりませんの
2026/07/29 18:30
13. 名は貸しませんわ
2026/07/29 23:30
14. ご紹介に、判は要りませんの
2026/07/30 07:30
15. 空いた時間の底
2026/07/30 12:30
16. 受け取る稽古
2026/07/30 17:30
17. 向こう様が開けるもの
2026/07/30 22:30
18. 迎えに行く女
2026/07/31 07:30
19. 名前を出さない男
2026/07/31 11:30
20. 三年は、長うございますのよ
2026/07/31 15:30
(改)
21. 即答できませんの
2026/07/31 19:30
22. 生姜糖
2026/07/31 22:30
23. 断りの作法
2026/08/01 07:30
24. 何もしない半日
2026/08/01 13:13
25. 請求書は出せません
2026/08/01 17:30
26. 生まれて初めての招待状
2026/08/01 22:30
27. 玄関で、お会いしましょう
2026/08/02 08:30
28. 私が育てた
2026/08/02 12:30
30. この玄関で
2026/08/02 16:30