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放送室からのラブレター

最終エピソード掲載日:2026/08/08
作品梗概
 将司が住む町に、不思議な噂が流れた。夜になると、小学校の屋上にあるスピーカーから、誰かの声が聞こえるという。その噂は瞬く間に広がり、その学校の校長で、かつての将司の担任だった米倉は頭を悩ませていた。そんなときに、米倉の脳裏に浮かんだのが、電気店を営んでいる将司だった。
 ある日、米倉から呼び出された将司は、放送室にある今は使っていない古いデッキと、屋上のスピーカーが現在でもつながっていて、しかもデッキの中にはカセットテープが入っていることを発見した。デッキには、タイマー機能があり、午後九時に再生されるようにセットされていたのだ。これで、小さな町を襲った騒動は収まったのだが、放送室の古いデッキをめぐる不可解なことはなおも続いた。
 将司は、かつてのクラスメイトたちと、定期的にお酒を交わしていた。その中に、里紗もいた。彼らと、当時のことを振り返っていく中で、将司は里紗が放送委員をしていたことを思い出した。ひょっとしたら、里紗がこのことに何か関係しているのかも知れないという、漠然とした思いが、胸の中で膨らみ始めた。
 そんなある日、将司は自分の部屋を片づけていると、小さな箱が出てきた。それが、誰にもらったのかはわからなかった、バレンタインデーのチョコレートの箱であることを思い出した。一方で、校長の米倉からは、一本のカセットテープを託された。それを聞いている中で、将司の心の奥底で眠っていた記憶が徐々に蘇っていった。
 佳代という、言葉を話せないクラスメイトがいた。将司は人知れず、彼女に心を寄せていて、佳代もまた同じだったのだ。だけど、運命とは残酷なもので、佳代の思いは、ついには将司に届かなかったのだ。
 どうやら、佳代の唯一の友達だった里紗が、あのスピーカーの騒動と、カセットテープに関係していそうだ。そう思った将司は、ある晩、仕事を終えた里紗に、そのことを迫った。そこで里紗が語ったことは、友達を思うが故の、心温まる行動だった。
(原稿用紙換算89枚 30391字)
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