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灰かぶり修復士の俺、勇者の聖剣を直したら王国史から消された英雄たちの声が聞こえた 〜壊れた武器しか直せないハズレスキルで、捨てられた辺境工房から最強の遺物修復ギルドを作る〜

作者:磯辺
最新エピソード掲載日:2026/06/05
「その聖剣、まだ直っていません」

王宮工房で“灰かぶり”と呼ばれる三等修復士ルカ・グレイ。

彼のスキル【修復】は、壊れたものしか直せないハズレスキルだった。

新品は作れない。名剣も鍛えられない。見栄えのいい装飾品も仕上げられない。

任されるのは、戦場帰りの黒焦げの盾、持ち主の名もわからない折れた槍、誰も触りたがらない血錆びた武器ばかり。

そんなある日、ルカは勇者アレクが魔王を討った聖剣の修復作業に立ち会う。

王国中が「完全に修復された」と信じる聖剣。

明日の凱旋記念式典で、国王の隣に飾られるはずだった王国最高の遺物。

しかしルカだけは、その刃の奥に黒いひびを見た。

そこから聞こえたのは、勇者を責める声ではなかった。

『勇者は悪くない』

『でも、俺たちはいた』

『勝利の歌に、俺たちの名前はなかった』

聖剣は魔王だけを斬ったのではない。

勇者を英雄にするため、王国史に都合の悪い無名の兵士たちの名前まで斬り落としていた。

真実を口にしたルカは、王宮工房を追放される。

送られた先は、北東の果てにある捨てられた辺境工房。

そこにあるのは、壊れた武器と、忘れられた遺物と、誰にも届かなかった最後の願いだけ。

折れた騎士剣。

一度だけ主を守りたがっている盾。

呪いを抱えた槍。

焼け残った手紙。

名前を削られた欠けたナイフ。

ルカは知る。

自分の【修復】は、ただ壊れたものを元通りにする力ではない。

壊れた遺物に残った“最後の願い”を、もう一度だけ届かせる力なのだと。

これは、壊れた武器しか直せないと笑われた灰かぶり修復士が、辺境の廃工房から始める物語。

英雄譚に残らなかった者たちの声を拾い、

王国が隠した戦争の真実を暴き、

やがて最強の遺物修復ギルドを作り上げる。

元通りにはできなくてもいい。

最後の願いだけは、俺が届ける。
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