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カエル天気予報

作者:美濃 陽介
最新エピソード掲載日:2026/09/21
雨は、今日も降っている。

長く降り続く雨によって、日本の多くが水に沈んだ世界。
それでも人々は働き、学校へ通い、恋をして、家族と暮らしている。

テレビでは今日も「カエル天気予報」が流れていた。

札幌で暮らす十三歳の少女、莉莉(りーりー)にとっても、それはごく普通の日常だった。

学校へ行って、友達と話して、母親にからかわれて、ときどき大じじいのいる療養所へ遊びに行く。

そして莉莉には、雨を曲げたり、弱めたりする「カエル術」が使える。

本人にとっては、たいしたことではない。

雨も、水没した街も、カエル術も、生まれたときからそこにあるのだから。

けれど、八十歳の大じじいだけは違った。

八十一歳になっても忙しく動き回る妻。
百二歳になっても生きている母。
そして、ときどき自分をからかいに来る、ひ孫の莉莉。

そんな家族と暮らしながら、彼には誰にも話していない記憶があった。

この世界とは違う世界を、生きた記憶。

それでも、この世界は悪くないと思っていた。

家族がいる。
莉莉がいる。
雨くらい降っていたっていい。

だから今度こそ、余計なことはしない方がいい。

そう思っていた。

テレビの中のカエルが、見たこともないほど深い赤色に変わるまでは。
カエル天気予報 第一部 カエル天気予報編
幕間1 りーりーの家
2026/09/07 19:16
幕間2 りりかとクーパー
2026/09/11 13:08
幕間3 あやか
2026/09/14 13:36
幕間4 横須賀で
2026/09/18 06:32
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