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あたりまえの夕日

作者:半田南都
最終エピソード掲載日:2026/10/09

一九九八年五月、ゴールデンウィークの淡路島西海岸。

今のようなおしゃれなカフェも観光施設もまだほとんどない時代。
海と夕日だけが広がる町で、民宿の娘・奈美は、阪神・淡路大震災のあとに建て直した宿を手伝いながら暮らしている。

高校を卒業したばかりの十八歳。進学して島を出た同級生たちを眩しく思いながらも、忙しい毎日に追われ、自分の気持ちには蓋をしたまま。

毎日見ている海も夕日も、奈美にとってはあたりまえの景色だった。

そこへ一人旅の青年がやって来る。
人懐っこいがどこか掴みどころがなく、島の夕日をまっすぐ「綺麗だ」と言う彼。
最初は戸惑っていた奈美も、彼と過ごすうちに見慣れていた景色が少し違って見えるようになる。

国生み伝説が残る「はじまりの島」──淡路島。
海の匂い、静かな波の音、漁師町の暮らし、そして西海岸に沈む夕日。
大きく変わってしまったものと変わらずそこにあるものの中で、奈美は自分が大切にしていたものに気づいていく。

あたりまえだと思っていた夕日は、誰かにとってかけがえのない景色だった。


※この作品はエブリスタにも掲載しています。
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