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あたりまえの夕日  作者: 半田南都


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終章  はじまりの、その先


あの日からいくつもの年月が流れた。


あの頃とは少しずつ姿を変えた淡路島。

西海岸の海沿いには新しい店や施設が増え、かつて何もなかった場所にも人が訪れるようになった。


ひっそりと佇んでいた明神岬には展望台が整備された。今では生まれ変わりの場所として知られ、夕日の美しさを求めて訪れる人も多い観光スポットになっている。


けれど、岩場の向こうに広がる海やそこに建つ西濱神社は、今も変わらず残っている。


伊弉諾神宮もまた、この島にあり続けている。


国生みの神話が語られるこの島では、昔からさまざまな場所が『はじまりの地』として語り継がれてきた。


海の上に浮かぶ絵島も、その伝説にまつわる場所として知られている。かつてはその島に渡ることもできたけれど、今は立ち入りが禁止されている。


時代が変われば、訪れることのできなくなる場所もある。姿を変えるものもあれば、なくなるものもある。


北淡震災記念公園に立っていた風車もそのひとつだ。


二〇〇二年に建てられた風車は、十六年後の台風で倒れ、その後姿を消した。


長いあいだ、海を望む丘の上で羽を回しながら多くの人の目に映っていた風車。


今はもう、そこにその姿はない。


けれど、あの風車を見た人の記憶まで消えたわけではない。


この島で生まれた出会いも、誰かを好きになった時間も、いつか形を変えていくのかもしれない。

それでも、その人と過ごした時間まで消えてしまうわけではない。


島の景色はこれからも少しずつ変わっていくけれど、夕日を見上げた誰かの心に残るものはきっとある。


海は、ここにある。


昔と同じように、静かに。


今日もあたりまえのように、瀬戸内の海に夕日が沈んでいく。





『あたりまえの夕日』 完



ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

途中で連載が止まってしまいましたが、最後まで書き終えることができて嬉しいです。


この物語はフィクションです。作中に出てくる地名や観光名所などは、実在する場所をもとにしています。


この作品を書くにあたって、自分の記憶も頼りにしながらネットやAIなどでいろいろ調べ、できるだけ実際の場所や当時の様子と矛盾しないように書いたつもりです。

それでも多少違っているところもあるかもしれません。そのあたりはどうかご容赦ください。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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