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異能のツケは戦闘後に。―反動を24時間だけ先送りできる俺は、今日も明日の自分を使い潰す―

作者:小野音
最新エピソード掲載日:2026/09/01
異能には、必ず反動がある。

速く動けば、そのぶん身体が動かなくなる。
感覚を研ぎ澄ませれば、あとでまともに情報を処理できなくなる。
どんな異能者でも、使った力の代償からは逃げられない。

――鳴海朔也を除いて。

彼の異能《後払い》は、本来その場で受けるはずの反動を、最大二十四時間だけ未来へ先送りできる。

痛みも、機能低下も、消えるわけではない。
ただ、今だけは払わなくていい。

だから戦闘中の朔也は強い。

身体の制御を限界まで引き上げ、感覚を研ぎ澄まし、必要なら身体が止めている出力まで使う。
普通の異能者なら反動で動けなくなる使い方を、彼だけは平然と重ねられる。

そして事件が終わった数時間後。

ペットボトルの蓋を上手く開けられない。
まっすぐ歩けない。
視界に入る情報を整理できない。
医療室へ運ばれ、翌日の仕事まで外される。

周囲からの評判は、

「短い現場なら強い」
「でも毎回壊れて帰ってくる」
「長くは使えない奴」

そんなところだった。

本人も、それでいいと思っていた。

未来の自分が困るだけなら、今助けられるものを助ければいい。

そんな朔也の働く異能危機対策の現場には、
彼の反動管理に頭を悩ませる医療スタッフ・白瀬由良、
安定した現場能力を持ち、朔也の身体の使い方を嫌う倉橋千景、
壊れた装備を通して朔也の日常を知っていく技術員・藤崎灯里たちがいる。

仕事をして、飯を食って、くだらない話をして。
事件が起きれば、それぞれが自分の都合と判断で動く。

だがある時、朔也の戦い方を見た敵が気づく。

――こいつは、倒す必要がない。

戦わせればいい。
能力を使わせ続ければ、そのうち自分で動けなくなる。

これは、反動を消せない世界で。

今日の勝利のツケを、明日の自分へ押しつけ続ける男の話。
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