ミネルバ－望郷の町－

人間以外の他種族を嫌う領主が治める町ミネルバには、時折『どこか』から見慣れぬひとが迷い込む。彼らは〈メイト〉と呼ばれ、来たかと思えばいつの間にかいなくなっている不可思議な存在だった。

◆　如月司は大学からの帰り道から記憶がなく、目が覚めると見知らぬ家にいた。町に出て盗賊や獣人を目の当たりにし混乱しながらも、親切な警備隊の男の家に世話になる。周囲の善意と悪意を受けながら、司は忘れていた家族のことを次第に思い出していく。頭から血を流していたのは、誰だ？（第一部）

◆　特異な力を持つコーラルは、親に見放され、警備隊の隊長ノアの家に渋々居候していた。一方ノアは、コーラルから信頼されず対応に苦慮しつつも、町での度重なる魔物の襲来や失踪事件を調べはじめる。同僚のニジェットは失踪ではなく誘拐だと睨み、誘拐された者たちの共通項に気がつくが……。（第二部）

◆　領主邸の書斎で男が死んでいた。その場にいた幼馴染みの盗賊を逃がし、警備隊のトップであるギダは捜査を開始する。不可解な書斎の状況に領主が口を閉ざす中、あくる日に別の死体が見つかる。事件の解明に奔走する中で身近な者を疑うことになり、思わぬ形で〈メイト〉の真相に近づいていく。（第三部）

ふたつの町を中心に起こる出来事や事件、それに関わる人々の物語。
全三部構成＋後日談の番外編が六編。完結済み。
（色々と悩みましたが、改行は必要最低限で、ほぼしておりません。「主な登場人物一覧」に挿絵があります。苦手な方は挿絵を非表示に。イラストなどの無断転載はご遠慮ください）