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『十五階の迷宮 ――神の家から出られない』

作者:こうた
最終エピソード掲載日:2026/09/02
『十五階の迷宮 ――神の家から出られない』

六年間、一度もまともに休むことなく働き続けた土木工事監督・とおる、28歳。

仕事に追われ、恋人にも振られ、心身ともに限界を迎えた彼は、人生を立て直すため三か月の休暇を取った。

誰にも邪魔されず、ただ一人で過ごす。

そのつもりで山奥へ向かったとおるは、深い霧の中で一軒の巨大な屋敷を発見する。

そこには、同じように山へ入ってきたイラストレーターのゆうこがいた。

さらに、元キャリアウーマンのひとみ、配信者のジェシカ、元ヤンキーの登山家まなみも屋敷へ集まってくる。

偶然出会った五人。

しかし、玄関を出ようとした瞬間、異変が起こった。

――出口がない。

数万坪にも及ぶ敷地に建つ巨大な屋敷。

地上十五階にも及ぶその建物には、無数の部屋、階段、廊下が存在する。

だが、昨日通った廊下が今日は存在しない。

上った階段が地下へ続き、同じ扉を開けたはずなのに別の部屋へ繋がる。

そして、誰もいない廊下を歩く「影」。

何かを掴もうと這い回る「無数の手」。

姿を見ることのできない「老婆」。

古びた服を着て屋敷を歩く「少年」。

調べるうち、五人はこの屋敷がかつて巨大な宗教団体によって何十年もかけて増築され続けたことを知る。

そして神殿の奥には、数十億円相当ともいわれる大量の金塊が眠っているという。

だが、それは屋敷に隠された本当の秘密ではなかった。

なぜ、この家は増築されたのか。

なぜ、今も電気も水道も止まらないのか。

なぜ、大量の食料が部屋ごとに用意されているのか。

そして――

なぜ、とおるたちはこの屋敷へ呼ばれたのか。

閉じ込められて二か月。

五人は迷宮と化した「神の家」をさまよう。

恐怖、疑念、欲望、そして芽生えていく恋心。

やがて、とおるは屋敷の最深部で一枚の古い設計図を見つける。

そこには存在するはずのない階層が記されていた。

「第16階」

そして、その設計図の最後には、とおる自身の名前が書かれていた――。
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