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鉄屑と人間機関車

最新エピソード掲載日:2026/09/22
「山も登れない、スプリントも弱い。お前はただの足手まといだ」ツール・ド・フランスに憧れ、全財産をはたいて「一番安い、重い鉄(クロモリ)のロードバイク」を買った少年・新堂 駆(しんどう かける)。しかし、現代の高校自転車部は最新カーボン機材のエリート集団だった。練習のスピードにすらついていけず、惨めにクビを宣告された駆は、茨城の片隅にある風変わりなサイクルショップに拾われる。そこで叩き込まれたのは、己の「弱さ」を受け入れ、平地でチームの盾となる『至高のアシスト』の技術。そして、風の向き、道路の細さ、ライバルの疲労度すらも計算し尽くす、冷徹な脳内コンピューター(ヘッドワーク)だった。だが、日本のロードレース界は「上りと下りしかない」過酷な山岳地形。リザルト(順位)では絶対に勝てない駆は、自らの肉体を使い捨てるようにして、仲間を勝たせる『人間機関車』へと変貌していく。一方、自分をクビにした天才ライバルは国内王者として華々しくヨーロッパへ。そして、仕事の合間に深夜のローラー台で血を吐くような練習を続ける親友もまた、それぞれの執念を燃やしていた。――リザルトを持たない孤独なルーラー。その頭脳が世界のスカウトに見出された時、過酷なヨーロッパの戦場への門が開く。筋肉の破壊力がすべてを決める世界最高峰の舞台で、弱者が仕掛ける「数学的な完全犯罪」とは。
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