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婚約解消した当て馬令嬢は魔法百貨店を立て直す

作者:星舟能空
最新エピソード掲載日:2026/09/07
「君は、セシリアを王太子妃へ押し上げるための当て馬だった」

王太子レオポルドの婚約者として三年七か月、公務も式典も陰で支えてきたエステル。けれどセシリアが未来の王太子妃として認められたその日、役目の終わりと婚約解消を告げられる。

王家が慰謝料として示したのは、終身年金、宝石、郊外の屋敷――そして、亡き母が遺した七階建ての《星灯り魔法百貨店》。エステルは誰かに用意された安穏ではなく、母の店と、自分で失敗する権利を選んだ。

だが店は、灯りも消え、客も職人も去った倒産寸前の店だった。残る店員は三人、手元には金貨十二枚、総債務は四千八百枚。百日以内に延滞金を納め、営業を黒字化し、安全監査に合格できなければ差し押さえられてしまう。

魔法道具は、高価で高性能なら誰にでも合うわけではない。使い手の魔力、身体、仕事、暮らしと噛み合わなければ、名品さえ役に立たない。それなら、実際に試せて、合わなければ返せて、使い手に合わせて直せる店にすればいい。

売れ残りの灯りと最初の客から、エステルの再建は始まる。返品理由を次の商品へつなぎ、腕はあっても売場を持たない職人たちと共同開発し、暗い七階へひとつずつ光を取り戻していく。

ところが初売上の直後、王立魔法道具監査局長にして債権者側の監査責任者、アルノルト・ヴァイスベルク公爵が是正命令を携えて現れる。彼は監査を甘くせず、権力や資金で店を救いもしない。ただ厳しい基準の中で、エステルの選ぶ権利と仕事を誰より正確に見てくれる人だった。

競合する巨大百貨商会との価格戦、元婚約者の王室婚礼、辺境への物流、都市を襲う魔法具危機、さらには国外の市場へ。一店舗の再建は、やがて王都の「売り方」と人々の暮らしを変える挑戦へ広がっていく。

百日後も、彼女は七本の鍵を持っていられるのか。そして、助けてはいけない監査官と、助けられてはいけない店主は、互いを特別扱いせずに想いを育てられるのか。

恋の当て馬を降りた令嬢が、自分の名で働き、自分の人生と帰る場所を選び直す、魔法百貨店のお仕事恋愛譚。

※全150話、完結まで執筆済みです。
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