お控えなすって！　　ー前略、VRMMORPGより失礼いたしやすー

「おい、無課金ユーザーがいるぞ」
「ホントだ、ダッサ」

数百万人がプレイするＶRMMORPG「Glory of Pangaea」。高高度AIにより、一人として同じシナリオがないと言われるほど作りこまれた世界観と、自我を持つNPCが存在するVRゲーム。

その初心者プレイヤーが集まる森で、フンドシ男が木の枝を振り回してスライムと死闘を重ねていた。
彼の名前は雷門。間違えて誰も選ばない職業、「侠客」になってしまった悲しい男。ステータスも開けないし、スキルも取得できない。常に打首（アカウントバン）の危険が付きまとう、ネタ不遇職。

だが、彼の「侠客」としての自由なプレイは、このVRゲームのイレギュラーとして、次第に広く知られるようになるのであった。