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第二十七話

コソ…….コソ…….(仕事がやっとひと段落ついたので久しぶりに投稿をしたが、バツが悪くなっている顔)


スイマセンデシタ….(誰に謝ってるかわからないが謝ってる顔)


ワ……ア…..(誰にも読んでもらえず絶句してる顔)



「そいつぁまた、難儀なことですね」


渋い顔をした新場親分が、腹を揺らして身じろぎをする。新橋の屋敷の奥部屋には、トムと先輩、そして子どもと俺が座っていた。


「神祇組の輩が一枚噛んでるってのは濃厚でしょう。ですが、そのホームの土地の利権がどう絡んでくるのか、そこが問題でしょうね」


親分は悩んでいる様子だ。

子ども、そういや隆介って言ったか。隆介は「お金集めたらいいんじゃないの……?」と親分に話しかける。


「いや、こういう時はさらに複雑になってるんですよ。少し調べないとわからないですけど、すぐにわかりますよ。」

「さっすが、ウチの親分は裏の情報が早いぜ」

「……マル森、煽てるのもいいですけどね、アナタ、遊んで呆けてねぇで、ちったぁ一家の手伝いしなせぇや」

「……へぃすいません親分……」

「ったく、雷さん引っ張り回して賭場を遊び回ってアンタはね」

「まぁまぁ、親分、そんくらいで」

「雷さんもコヤツを甘やかしすぎですよ!」


トムは、隆介の頭を撫でながらゲラゲラ笑っている。先輩は肩を窄めてションボリ気味だ。


「とにかく、親分。通りすがりとはいえ首突っ込んじまったからよ。すまねぇが手ェ貸して貰えねぇか」

「雷さんの頼みなら、いくらでも手ェかしますよ」


親分は雷門に甘いぜ、と先輩がぼやくと、親分はため息をつきながら「当たり前でしょう、一家を救ってもらってんですから」と呆れた。


隆介が「雷門にいちゃんはそんなすげえのか?」とトムに聞いている。俺は小っ恥ずかしいからやめろと言ったが、基本的に饒舌なトムは


「ライさんはね、この人たちが死刑になりそうになった時、それを救ったんだよ」

「すげぇ!」

「もうここらじゃプレイヤーもNPCもみんな知ってるよ!颯爽と現れた新顔のヒーローだってね!」


ヒーローの発音がネイティブだし恥ずかしいからもうやめて。隆介も「ひぃろぉう……かっけえ!」と繰り返すな。


俺は終始顔を赤くし、先輩の横で同じく肩を窄めることになった。






「……?あ、兄貴!!!!」

「数日ぶりだな、三郎」


俺は抱きついてくる三郎の頭を撫でる。ひとまず色々と調べてみると言っていた新場の親分の屋敷を出た後、俺は一人で、幡随院家に来ていた。新場の親分の調査が一通り済むまで、いま、俺ができることは特にないし。とりあえず幡随院に挨拶しとかないとな。


庭で掃除をしていた若い衆に混じって三郎は楽しそうにしていたから、安心しながら陰から覗いてたんだけど。


三郎にバレたので、俺は恐る恐る屋敷に入る。すると、玄関から銀次が出てきた。


「おや、雷さん。……今度はどんなネタ拵えてきたんでござんしょう……?????????」

「圧が……圧が凄い」

「ウチのお嬢がそろそろ出禁にしてやろうかなって」

「……手土産持ってきてよかった」


俺は手に携えたうさぎ屋のどら焼きを見せる。銀次は苦笑しながら「冗談でございまさぁ、そんな気を遣わなくても」と屋敷へと案内してくれた。


屋敷の奥の間に入ると、お蝶が縁側で花を生けている。今日は紅い着物に、いつものポニーテール。綺麗な横顔が陽に照らされて、さながら一枚の浮世絵のようであった。


卍先生が見たらすぐに筆を取り出しそうだな、と思いながら部屋に入る。


お蝶はすぐに気がつき、ジト目をした。


「今度はどんな厄介ごとを」

「持ってきてねえから!」


俺はどら焼きを差し出しつつ、首を振るう。

ことあるごとにお蝶たちに頼ってるから、そろそろ呆れられてしまいそうだ。


「鑑定団に連れてってもらった礼をな。三郎の件もすまなかったな」


お蝶は「気にするな」と言いつつ、どら焼きを嬉しそうに受け取る。可愛い。


「サブちゃんはもう可愛くて妹みたいになってるからいいんだよ。……それで、鑑定結果は?」


俺は天井を仰ぐと、肩をすくめる。それだけでお蝶は大体を察し、「ま、まぁ、まだ始めたてだろ」と俺を慰めた。その慰めが逆に切ないよ俺は。


お蝶は若干オロオロとしつつ、フォローを重ねようとするが、俺はそれを遮った。


「喧嘩ができるだけでもありがてぇもんよ」

「一応、パンゲアってRPGなんだけどね。喧嘩ゲーじゃないから」

「え?」


俺は差し出されたお茶を飲む。


殴り合いチキンレースなパンゲアで落ち着ける時間は少ないが、お蝶とお茶をたまに飲む時間というのは、俺の心を落ち着かせるな。


「んで、これからどうするんだい。冒険ってわけにも行かないか」

「うんにゃ、どうやら京都にいる偉い坊さんに診て貰えば、どうにかなるかもしれんって、トンデモ鑑定団のセイさんが」


お!それは良かったじゃないか!と一輪の向日葵を差しながらお蝶は笑う。冬の椿のような笑顔だ。


「それじゃぁ京都に?」

「うーむ……」


俺はそう問われて少し悩む。京都に行くのは歩いて行けば簡単なんだが、隆介の件もある。下手に関わってしまったようなもんだから、新場の親分に投げてどこかに行くっていうのはな。


「……?まさか、なんか厄介ごと……」

「い、いや?そんなわけ……」


俺は否定したが、蛇の道はヘビというしな。

……そうだ。お蝶にも神祇組について聞いてみるかと思い立った時、俺の後ろの障子が勢いよく開き三郎が飛び込んできた。


「兄貴ぃ!!!!話は終わった!?!!?」

「ど、どうしたのサブちゃん!?」


お蝶が慌てている。三郎は尻尾をブンブンと振る犬のように俺に抱きついて来ると、「兄貴と行きたいとこがあるんだ!行こう!」と俺を部屋から強引に連れ出した。


去り際に、お蝶が「いいなぁ」と言っていたが、三郎と一緒にお出かけしたかったらしいな。……全然譲るけどな、このポジション。結局俺は神祇組が関わっているらしい一件をお蝶に語ことなく、三郎に引きずられていった。




「兄貴!最近忙しかったのか?疲れてないか?」

「ぼちぼちだな、そっちはどうなんでぇ、お蝶んとこ、いじめられたりしてねぇだろうな」

そう聞くと、隣を楽しそうに歩く三郎は、ケラケラとそんなわけないやい!と笑った。幡随院一家のことだ、そんな無体な真似する輩なんて一人もいねぇことはわかってる。俺はすっかり安心した。


三郎と連れ立って上野回りから浅草へとぶらぶらと歩く。屋台の威勢のいい掛け声は耳に心地いい。俺は道中の綿菓子屋で買った綿飴を二人で食べながら、天狗の仮面なんかも被ってはしゃいで歩いていた。


「兄貴ぃ!アタシ、こんな楽しいの初めてかもしれない!」

三郎は、カランコロンと下駄を跳ねさせながら、お団子頭を嬉しそうに振る。頭の上にちょこんと乗った天狗の仮面も可愛らしかった。


俺も楽しそうぞ、と返しつつのんびり辺りを見回すと、近くに浅草寺が見える。おや、もう浅草まで歩いてきてしまったか。どれ、ついでに回向院にでも顔を出すかなと考えた矢先、三郎が俺の袖を強く引っ張る。


「兄貴!アタシ、アレが見たいんだ!!」

そういうと、浅草寺の裏手、浅草奥山名物の見世物小屋がズラリと並んでいる。そういえば、三郎は俺と行きたいところがあるって言ってたな。


三郎はこっち!こっち!と強く袖を引っ張って俺を連れて行く。


「幡随院のみんなに聞いたんだ!いま、とっても面白いものが見られるって!」


見世物小屋ねぇ。このポリコレと差別に厳しい現代で、パンゲアさんどのラインを攻めてくるんだろうねぇ。俺はそういった興味で、一つの見世物小屋へと入っていった。啖呵切ってる小屋の呼び込みに二人だと告げ入り口で観覧代を二人分渡す。


そばで見ていた三郎が「兄貴、大人二人で払ってくれたのか?」と上目遣いに聞いてきた。当たり前だろ?金払うのは。すると、「へへ、アタシも兄貴から「大人」って見られてるんだな!」とさらに上機嫌になった。


お、おう?と答えつつ、上機嫌なのは良いことだと俺は手近な枡席に腰掛ける。そういえば、ここの演目というか、なんの見世物小屋だっけ?といまさら知らないで入ったことに気がついた。


すると、暗かった小屋の中で、光と共に幕が上がる。お囃子も一丁前に奏でられ、カンカンカンと小高い鐘の音が響き渡った。一人の仕切り男がそろそろと小上がりの舞台の裾から真ん中へ歩み出る。


「さぁさ皆さま!ようこそお集まりくださいやした!本日はお江戸浅草奥山の、新しき大名物にございます奇天烈な生き物たちによる興行を!心ゆくまでお楽しみくださいましぃ!!」

「ヨッ!」「お国一番!」と野次が飛ぶ。


なんとも威勢のいいこったと思いつつ俺と三郎は、のんびりと幕開けを待った。


舞台の上には一匹の……熊がいるんだが……下半身が……人間のような……おいあれって……


仕切り男が「さぁさご覧あれぇい!世にも珍しき南蛮からきた熊男でございまする!!!」と叫ぶ。三郎も「兄貴!すげぇ!あれ見て!!!」と俺の裾を強く引っ張る。


熊男は椅子に座ったまま、モソモソと、手に持った蜂蜜をぺろぺろと舐めている。もふもふの手を器用に使い、美味しそうに食べているが、人間部分の足はしっかりと足組みされており、もはやスタイリッシュであった。


三郎が「でもあれ着ぐるみじゃないの?」と聞けば、折よく仕切りの男が「しかし皆様!此奴が着ぐるみ被った男とお思いでございましょう!……そこで皆さまに、証明してご覧に入れましょう!」と言うと、熊の部分を掴み、持ち上げる。


熊男は嫌々と立ち上がり両手を万歳するが、毛皮の部分は取れない。それから紐で引っ張ったりなんなりとするが、ビクともしなかった。


「さぁ皆様!これでお分かりいただけたでしょう!これが南蛮渡来の奇天烈珍妙奇々怪々!熊男にござい!」


江戸の町民たち、そしてプレイヤーたちからも拍手が起こる。そこから梟の羽を生やしたネズミや、馬の足をつけた犬などが入れ替わり立ち替わり、舞台に上がっていった。


三郎が嬉々として、俺の膝を叩く。


「すごいよ!すごいねぇ!兄貴!南蛮にはあんな生き物がいるんだねぇ!!!」

「……いるわきゃねぇだろ」

「……え?」


三郎が唖然とした顔で俺を仰ぐ。まるでサンタクロースの正体について知った時の子供の顔のような。


悪いな三郎。

でもな、俺にゃ譲れねぇところもあるんだ。


俺はやおら立ち上がる。そして辺りを見回した。そして会場の端に……見つけた。どこかビクビクしている白衣の男と、その隣で難しい顔をしている片眼鏡の男。


ほっかむりをしていても俺にはわかる。


「ダァランドォォォ!!!!」


白衣の男は俺の大声にビクゥ!と肩を跳ね上げた。慌てて両腕を前に出し、「違う!母ちゃん違うンダ!これにはワケが!」と弁明をしている。


だが、そんなことは知ったことではない。俺は桝席から飛び出すと、ダランドに向けて一直線に駆け出そうとした。


しかし、行く手を大きな影に阻まれる。俺が見上げると、そこには一人の力士が立っていた。まごうことなき巨漢。俺は腹から声を出した。


「邪魔でぇ」

「……喧嘩するなら表に出ろよ。小屋ん中でおっぱじめんじゃねぇよ酔っ払い」


綺麗な白の博多帯で巨木のような腰を締め、足袋に雪駄。こいつ、関取か。力士と関取じゃ、天と地の差というが。俺の怒声で一度は静まり返った小屋の中も、この関取が立ちはだかったことで拍手喝采が巻き起こった。


「いけぇ!とっちめろ大滝松!」

「酔っ払いなんざやっちまえ!」

「ひとひねりだろ!」


どうやらこの関取は町方にも人気らしい。相変わらずNPCとは思えないほどの滑らかな動きで、俺の眼前に立つ。そういえば、力士はプレイヤーではなれない職業らしい。それもそのはず、こいつらとんでもなく強いらしい。


以前、Dスラ先輩から、力士に喧嘩は売るなと言われたことを、俺は怒りの隅で思い出した。だが俺にはそんなこと関係ない。勢いよく睨みつける。


「知ったことかよドサンピン、そこどいてろ」


俺は大滝松とかいう関取を押し退け、先に進もうとしたが、阻まれた。


「てめぇ」


すると、その横にいた背丈が俺と同じくらいの壮年の男が、立ち上がって関取を制止した。


「ナァ悪いことは言わねぇ、やめときなさいや松さん」

「止めないで来んな!おやっさん!いずれ綱取りを目指す俺ァ、コケにされてすっこんでろってかい!」

「いやそうじゃなくってね」

「いくら谷町のおやっさんとはいえ、おやっさんのメンツまで貶されたようなもん!俺ぁ許せねえ!」


町方が「おいあれって」「町田の親分じゃねぇのか」「アラカドの!?」と囁いている。


大滝松は血の気のあまりもう周りが見えていないようだった。枡席の枠を丸太のような腕で引きちぎると、スペースを作る。


「叩きのめしてやるぜモヤシ野郎!」


三郎が慌てふためいたように俺の裾を引っ張り、「兄貴まずいよ!ここは逃げないと!相撲取りには敵わないよ!」と叫ぶ。


だが俺は三郎の頭を撫で、その手を抑えてる。

三郎はハッとしたように手を引っ込めた。


俺は、そのままズンズンと大滝松の前に進むと、どっからでもかかってきやがれ!と叫ぶ関取の頭を掴んだ。気づけば間合いを詰められていた黒松は「なっ!?」と声を上げる。


俺はお構いなしに、そのまま大滝松の頭を地面に叩きつけた。ドン!!!!と見世物小屋が震えるように地鳴りがする。


「……邪魔だ、デクの坊」


一瞬の静寂ののち、町方が「「うわぁ!!!」」と見世物小屋から逃げ出していった。口々に「化け物だ」と叫びながら。ちょうどいいだろうが、「見世物小屋」なんだからよ。


俺はヘナヘナと座り込んでいるダランドの胸ぐらを掴んだ。卍先生が「ちょっと待って」と手を抑えるが、俺は構わず襟首を捻り上げる。


「ちがうンダ母ちゃん〜!!!!」

「ちげえもクソもねぇだろうが!!熊のパーさんの嫌がる顔見てねぇのかテメェは!!!あんだけ、あの子たちを見世物小屋に出すんじゃねぇぞって釘刺したよなぁ!!!」

「事情を聞いてヨ〜!!!」

「ワケもワカメもあるもんかぃ、あの子たちが笑いモノにされて俺が黙ってられると思うなよ!」


俺が怒鳴りつけていると、後ろから毛むくじゃらの手が俺を羽交締めにする。振り返ると熊男が俺を必死に止めていた。


「やいパーさん!!止めねぇでくんな!このダランドの野郎に一発ぶちかまさねえといけねぇ、お前らをダシにしやがってテメェ」

「雷さんやめて」

「やめてって言われたって俺は止まらねえぞ!」

「落ち着いてよ雷さん!」


ダランドと卍先生がブチギレてる俺を通り越して、俺の後ろのパーさんをあんぐりと眺めている。その頃には俺を止めようと駆けつけた三郎も横にいたが、同じように口を大きく開けていた。


「え、アナタ喋れるんですカ……?」

「マジ……?」


俺はパーさんに向き合って、「え、言ってなかったの?」と聞いた。そうしたら熊のパーさん、「だって雷さん、喋れるってわかったら解剖されちまうから黙ってろ!って言ったじゃん」とほっぺをむくれさせた。


「……それはごめん」

「お陰で誰とも上手いこと意思疎通が図れないから本当に困ってたんだからね!」

「……すいません」

「まったく、そこの大人三人!正座!」

「「「へぃ」」」


俺とダランド、そして卍先生は熊のパーさんの前で正座しながら事の次第を聞いた。








書く時間なかったんだもん!しょうがないじゃん!これだって寝る間を惜しんでチマチマ書いたんだ!次の話だって頑張って書いてるもん!(お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。次の話も鋭意製作中ですので、長い目で見ていただければ幸いです。よろしくお願いします)

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