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初恋は、十年越しに花開く。

作者:こよみん
最新エピソード掲載日:2026/08/31
高校一年生の春。

野球部に所属する少し奥手な少年・ユウキの前の席になったのは、明るくて元気で、いつも笑顔の少女・マミだった。

授業中にも後ろを振り返っては話しかけてくるマミと、そんな彼女に密かに惹かれていくユウキ。

数学教師から「二人はお似合いですね!」とからかわれるほど仲の良かった二人は、実はお互いにとっての初恋だった。

――それなのに、二人は恋人になれなかった。

想いを伝えられないまま時間は流れ、ユウキはマミの親友・マユから告白され、付き合うことになる。

やがて高校を卒業し、それぞれ別々の人生へ。

大学時代にも恋愛を経験し、二十三歳になったユウキは大手営業会社の営業マンに。

マミもまた、大手OA機器メーカーで働く社会人になっていた。

もう、あの恋は青春時代の思い出。

――そう思っていた。

そんなある日、ユウキのもとへ母校・花園高校から文化祭の招待状が届く。

懐かしさに誘われ、一人で母校を訪れたユウキ。

かつて過ごした校舎。

変わらない教室。

青春の記憶が残る風景。

そして、人混みの向こうにいたのは――。

「……あ」

「あっ!」

ずっと忘れられなかった初恋の人、マミだった。

偶然の再会を喜び、一緒に文化祭を回ることになった二人。

そして二人は、あの頃には知らなかった真実へたどり着いていく。

――実は、ずっと両想いだった。

「もし、あのとき告白していたら」

「もし、あのとき好きって言えていたら」

大人になった今だからこそ向き合える、青春時代の後悔。

別々の恋を知ったからこそ分かる、本当に大切な人。

けれど、社会人になった二人の恋は、高校時代のように甘いだけでは終わらない。

仕事。

すれ違い。

過去の恋。

将来への不安。

離れて過ごす時間。

それでも二人は、今度こそ互いの手を離さない。

高校時代には恋人になれなかった二人が、再び恋をして、恋人になり、やがて人生を共に歩く存在へ――。

これは、運命の人と初めて出会う物語ではない。

ずっと昔に出会っていた運命の人と、もう一度恋を始める物語。

前の席と後ろの席から始まった、二人の初恋。

遠回りした時間さえ、いつか大切な思い出に変わっていく。

『初恋は、十年越しに花開く。』

あの日、言えなかった「好き」の続きを――今度こそ、君と。
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