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第2期 第1話 「離れても、一番近くに」

挿絵(By みてみん)


三月下旬。


桜が咲き始めた朝。


新幹線ホームには、多くの人が行き交っていた。


ユウキは大きなキャリーケースを足元に置き、改札の向こうを見つめる。


来週から始まる名古屋支社での半年間の勤務。


営業部長から期待を受けて任された、大型プロジェクト。


営業マンとしては大きなチャンスだった。


だけど――。


「ユウキ!」


聞き慣れた声が響く。


振り向くと、マミが小走りで駆け寄ってきた。


白いブラウスにベージュのトレンチコート。


少し息を切らせながら、それでも笑顔を見せる。


「間に合ってよかった。」


「仕事だったのに。」


「午前休もらった。」


「見送りたかったから。」


その一言だけで、ユウキの胸は温かくなった。


「いよいよだね。」


「うん。」


「半年。」


「長いような、短いような。」


二人はベンチに並んで座る。


以前なら「会えない」という不安ばかりが頭をよぎっていた。


でも今は違う。


恋人になったからこそ、お互いを信じられる。


「約束。」


マミが小指を差し出す。


「毎日連絡すること。」


「電話も。」


「無理しないこと。」


「仕事を頑張ること。」


「全部守る。」


ユウキも小指を絡めた。


「約束。」


発車時刻が近づく。


ホームにアナウンスが流れる。


「そろそろだ。」


「うん……。」


マミは笑おうとする。


でも少しだけ寂しそうだった。


「ねぇ。」


「ん?」


「半年なんて、あっという間だよね。」


「きっと。」


「帰ってきたら。」


「最初にどこ行く?」


ユウキは少し考える。


「花園高校。」


「え?」


「文化祭で始まった恋だから。」


「また二人で歩きたい。」


マミは嬉しそうに笑った。


「賛成。」


新幹線がホームへ滑り込む。


「じゃあ。」


ユウキはキャリーケースを持つ。


「行ってくる。」


「うん。」


「行ってらっしゃい。」


少しだけ沈黙が流れる。


マミは一歩近づき、小さく微笑んだ。


「帰ってきたら。」


「おかえりって言うね。」


ユウキも笑う。


「その言葉、楽しみにしてる。」


車内。


新幹線がゆっくりと動き出す。


窓の外では、マミがずっと手を振っていた。


ユウキも笑顔で手を振り返す。


姿が小さくなっても。


見えなくなっても。


スマートフォンが震えた。


マミ

『もう寂しい。。。』


ユウキは思わず笑う。


ユウキ

『俺も。でも半年後にはまた隣にいる。』


すぐに返信が届く。


マミ

『うん。だからお互い頑張ろう!』


そのメッセージを見つめながら、ユウキは窓の外に広がる景色を眺めた。


営業マンとして成長する半年。


恋人として絆を深める半年。


その両方が、今始まろうとしていた。


午後一時。


名古屋支社。


「今日からよろしく!」


元気な声とともに、支社のメンバーがユウキを迎える。


「東京から来たユウキくんだね。」


「はい、よろしくお願いします。」


その時、一人の女性社員が近づいてきた。


「初めまして。」


「営業課の朝倉美咲です。」


「半年間、一緒にプロジェクトを担当します。」


仕事のできそうな雰囲気をまとった、落ち着いた笑顔の女性。


ユウキは礼儀正しく頭を下げる。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


新しい環境。


新しい仲間。


そして新しい挑戦。


その頃、大阪では――。


マミもまた、大きな仕事を任されようとしていた。


離れた場所で、それぞれの夢に向かって歩き始めた二人。


遠距離恋愛という新たな試練は、まだ始まったばかりだった。


――第2話「毎日、午後十時の約束」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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