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第6話 「月曜日、それぞれの職場で」

挿絵(By みてみん)


月曜日、午前七時四十分。


休日の余韻は終わり、街はスーツ姿の人々で溢れていた。


ユウキはコーヒーを片手に会社へ向かう。


大手営業会社、東都セールス株式会社。


入社二年目。


法人営業として忙しい毎日を送っている。


改札を抜けながら、無意識にスマートフォンを開いた。


昨夜の最後のメッセージ。


マミ

『おはよう☀ 今日からまた仕事頑張ろうね!』


思わず口元が緩む。


ユウキは返信を打つ。


ユウキ

『おはよう!お互い頑張ろう。無理しすぎないようにね。』


送信。


それだけで月曜日が少しだけ楽しみになった。


「おはようございます!」


会社へ入ると元気な声が飛んでくる。


「ユウキさん、おはよう!」


声の主は一年後輩の営業アシスタント、


綾瀬リナ(あやせ りな)。


二十二歳。


ショートボブが似合う明るい女性で、社内でも人気が高い。


「珍しいですね。」


「朝から笑ってるなんて。」


「え?」


「何かいいことありました?」


「いや、別に。」


「怪しい。」


リナはニヤニヤしている。


「彼女できました?」


「違うって。」


「ほんとですか?」


「ほんと。」


ユウキは苦笑した。


もちろん彼女ではない。


でも。


「気になる人ならいる。」


そんな言葉が喉まで出かかった。


一方その頃。


大手OA機器メーカー、


星野テクノロジー株式会社。


「マミ、おはよう!」


「おはよう!」


営業部のフロアは朝から活気がある。


マミは営業担当としてコピー機や複合機を法人へ提案している。


「マミさん。」


後ろから男性社員が声をかける。


「今日のお昼、一緒にどうですか?」


振り返ると、


同期の黒川くろかわ 颯太そうた


高身長で爽やかな営業マン。


女性社員からの人気も高い。


「今日はごめん。」


「お弁当持ってきちゃった。」


「そっか。」


「また今度!」


「うん。」


笑顔で断る。


黒川は残念そうに笑いながら席へ戻った。


その様子を見ていた女性社員たちがひそひそ話す。


「また誘われてる。」


「黒川くん、本気っぽいよね。」


「マミは全然気付いてない。」


本人だけが知らない。


昔からそうだった。


昼休み。


ユウキのスマホが震える。


マミ

『ちゃんとお昼食べてる?』


たった一行。


それだけなのに嬉しい。


ユウキ

『今から食べる!マミは?』


数秒後。


『今日はお弁当♪』


『高校の頃みたいでしょ(笑)』


ユウキは思わず吹き出した。


(覚えてるんだ。)


返信する。


『金曜日だけパンじゃないの?』


既読。


数秒。


『もう!!』


『まだ覚えてるの!?』


自然と笑顔になる。


「ユウキさん。」


「また笑ってる。」


リナが隣に座った。


「絶対恋してますよね。」


「違う違う。」


「スマホ見せてください。」


「無理。」


「図星だ。」


「仕事戻れ。」


「はーい。」


リナは笑いながら去っていく。


その日の午後。


ユウキは取引先へ営業に向かっていた。


エレベーターを降りた瞬間。


「あれ?」


聞き覚えのある声。


振り返る。


「……マミ?」


「えっ!?」


二人とも驚く。


「なんでここに?」


「営業。」


「ユウキも?」


「営業。」


顔を見合わせる。


そして笑う。


「まさか仕事で会うなんて。」


「昨日そんな話したばっかりなのに。」


「本当にあるんだ。」


二人が訪れた会社は偶然にも同じ取引先だった。


「先方来るまで少し時間あるみたい。」


マミが時計を見る。


「五分くらい。」


「じゃあ。」


近くの自販機へ向かう。


缶コーヒーと紅茶を買う。


「はい。」


「ありがとう。」


廊下のベンチに並んで座る。


スーツ姿のマミは、高校時代とは違う魅力があった。


仕事モードの真剣な表情。


でも笑うと昔のまま。


「似合ってるね。」


ユウキが言う。


「スーツ。」


「ありがとう。」


「ユウキも。」


「営業マンって感じ。」


「昨日は私服だったから新鮮。」


「お互い様。」


少しだけ照れる。


「マミさん?」


そこへ男性の声が響く。


振り向くと、


黒川が立っていた。


「あれ?」


「お知り合いですか?」


マミは笑顔で紹介する。


「高校の同級生。」


「ユウキ。」


「こちら会社の同期の黒川くん。」


黒川は爽やかに頭を下げた。


「初めまして。」


「いつもマミさんには助けてもらってます。」


「こちらこそ。」


ユウキも名刺を差し出す。


穏やかな挨拶。


しかし。


黒川は気付いていた。


マミが見せる笑顔が、会社で見せるものとは少し違うことに。


そしてユウキもまた感じていた。


黒川の視線には、同期以上の想いがあることを。


仕事の偶然の再会は、新たな恋のライバルを静かに連れてきたのだった。


――第7話「ライバル出現」へ続く。

『初恋は、十年越しに花開く。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


ユウキとマミの物語を「面白かった」「続きも読んでみたい」と少しでも感じていただけましたら、評価をつけていただけると、とても励みになります。


そして、


「二人の再会が好きだった」

「このシーンが心に残った」

「マミがかわいかった!」

「ユウキ、もっと勇気出せ!」


そんな一言だけでも、感想をいただけたら嬉しいです。


もちろん、レビューも大歓迎です。


皆さまからいただく評価・感想・レビューの一つひとつが、これから物語を書き続けていく大きな力になります。


そして何より――


この作品をきっかけに、


「誰かを好きになるって、やっぱりいいな」


そう思っていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


まだ評価されていない方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

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