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悪役令嬢に転生した大阪のおばちゃん、断罪より先に飴ちゃんを配る ~婚約破棄はもろときますわ。ほんで王子、あんた晩ごはん食べたんか?~

作者:月城 友麻
最終エピソード掲載日:2026/08/11
大阪の下町で五十年、飴屋「てるや」を守った難波照子、享年六十八。

風呂上がりにぽっくり逝って、気がつけば金髪縦ロールの公爵令嬢テレージア(十七)――しかも目の前では、婚約者の王太子が満座の夜会で婚約破棄を叫んでいる真っ最中である。

震えて泣く男爵令嬢の顔が、店の常連だったみっちゃんの泣き顔に重なった瞬間、前世の記憶がドッと戻った。

ここは、みっちゃんが毎日レジ前で語っていた乙女ゲーム『きらめき王立学園』の世界。うちは追放されて野垂れ死ぬ悪役令嬢。

せやけど――まあ、それはそれとして。

「あんた、泣いてるやん。はい、飴ちゃん」

断罪の場は飴と説教で井戸端会議に変わり、婚約破棄は快諾(「もろときますわ」)。罪状は帳面につけて、やった分は謝る、やってへん分は引き受けへん。

翌日から悪役令嬢は変わる――侍女を名前で呼び、いじめた令嬢に菓子折り持って詫び行脚、厨房を占拠して麦芽の水飴を炊き、招かれたことのない壁の花だけ集めてお茶会を開く。

「人が変わった」と訝しむ国王が付けた監視役は、眼鏡の朴念仁な王室調査官ルドガー――みっちゃんが「実装はよ」と焦がれた推しキャラ本人だった。

餌付けされながら彼が王へ上げる定例報告書は、日に日に様子がおかしくなっていく。

「対象は本日、国王陛下に飴を献上。極めて危険(うまい)。以上」

砂糖を独占する大商会に安い飴で喧嘩を売り、ヒロインの実家の借金は利息から検算し、断罪より先に飴ちゃんを配る――

配ってばかりの人生二周目に、初めて「もらう側」の恋が来るまでの、人たらし溺愛コメディ。
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