魔法?いや剣技だが?
最終エピソード掲載日:2026/10/23
魔法の天才が、剣にこだわり続けたら、騎士団長になっていた。
王国騎士団長カイル・レオンハート。通り名は「王国の剣」。
火魔法を使えば一瞬で片付く相手にも、剣しか抜かない。
魔物を殺さない。部下にも殺させない。「殺すと、うるせえやつがいるんだよ」。
そのうるさいやつは、王都二番街の古い商館の三階で、今日も机に突っ伏して寝ている。
学園時代からの友人リオ。表は人材派遣、裏は「十三番窓口」と呼ばれる困りごと屋の、眠そうな主だ。
ある朝、北の街道にフォレストウルフが四十頭、逃げてきた。
山の主が消えていた。
国境の向こうの若い貴族が、「山の主をテイムした男」になりたくて、隷属の輪を嵌めて連れ去ったのだ。
主のいない山は、ひと月で崩れる。
山ひとつ分の魔物が、村へ降りてくる。
王は言った。「民を守るためだ。……すまん」。
カイルは答えた。「本当に無理な時以外は、撃退にとどめます」。
騎士団は鉄の棒で獣を押し返し、十三人が倒れた。
次に来るのは千を超える群れ。
その先頭には、輪に頭を食い込ませ、何も見ていない目で吠え続ける主がいる。
剣では足りない。
だがカイルの全力の火は、燃やしていいものを選べなくなる。
前にこの技を使った時、山がひとつ燃えた。
隣に誰かを立たせられるのが、剣だ。
その剣を握ったまま、カイルは火を抜く。
眠そうな友人と、水の匂いのする小さな友達を、隣に立たせて。
「魔法?」
「……いや、剣技だが?」
剣聖の娘を妻に持ち、火を出したがる五歳の息子を持つ騎士団長の、ひと月の話。
『一体契約のテイマーと十三番窓口』の十五年後。本編を読んでいなくても読めます。
王国騎士団長カイル・レオンハート。通り名は「王国の剣」。
火魔法を使えば一瞬で片付く相手にも、剣しか抜かない。
魔物を殺さない。部下にも殺させない。「殺すと、うるせえやつがいるんだよ」。
そのうるさいやつは、王都二番街の古い商館の三階で、今日も机に突っ伏して寝ている。
学園時代からの友人リオ。表は人材派遣、裏は「十三番窓口」と呼ばれる困りごと屋の、眠そうな主だ。
ある朝、北の街道にフォレストウルフが四十頭、逃げてきた。
山の主が消えていた。
国境の向こうの若い貴族が、「山の主をテイムした男」になりたくて、隷属の輪を嵌めて連れ去ったのだ。
主のいない山は、ひと月で崩れる。
山ひとつ分の魔物が、村へ降りてくる。
王は言った。「民を守るためだ。……すまん」。
カイルは答えた。「本当に無理な時以外は、撃退にとどめます」。
騎士団は鉄の棒で獣を押し返し、十三人が倒れた。
次に来るのは千を超える群れ。
その先頭には、輪に頭を食い込ませ、何も見ていない目で吠え続ける主がいる。
剣では足りない。
だがカイルの全力の火は、燃やしていいものを選べなくなる。
前にこの技を使った時、山がひとつ燃えた。
隣に誰かを立たせられるのが、剣だ。
その剣を握ったまま、カイルは火を抜く。
眠そうな友人と、水の匂いのする小さな友達を、隣に立たせて。
「魔法?」
「……いや、剣技だが?」
剣聖の娘を妻に持ち、火を出したがる五歳の息子を持つ騎士団長の、ひと月の話。
『一体契約のテイマーと十三番窓口』の十五年後。本編を読んでいなくても読めます。
第1話 魔法の天才は、剣しか抜かない
2026/10/15 07:10
(改)
第2話 山が、動いてる
2026/10/15 14:10
(改)
第3話 炎を出す剣技はありません
2026/10/15 19:10
第4話 全部、怯えてる
2026/10/16 07:10
第5話 矢だけが燃えた
2026/10/16 19:10
(改)
第6話 山ひとつ分、来るぞ
2026/10/17 07:10
第7話 王は「すまん」と言った
2026/10/17 19:10
(改)
第8話 燃えない森を作ればいい
2026/10/18 07:10
(改)
第9話 隣に立つ人
2026/10/18 19:10
第10話 文句があるなら国を通せ
2026/10/19 07:10
第11話 百頭を、殺さずに止めろ
2026/10/19 19:10
(改)
第12話 あなたは、止められる人です
2026/10/20 07:10
(改)
第13話 魔法なしだと全然勝てねえ
2026/10/20 19:10
第14話 消し方から教える
2026/10/21 07:10
第15話 ――燃やせ
2026/10/21 19:10
(改)
第16話 隣に、リオがいる
2026/10/22 07:10
(改)
第17話 お前の火だ
2026/10/22 19:10
第18話 魔法?いや剣技だが?
2026/10/23 07:10