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義姉に手柄を盗まれ続けた針子令嬢 〜追放されたので呪いほどきの仕立て屋を開きます〜

作者:陽和
最新エピソード掲載日:2026/11/02
王女殿下がまとった朝露のドレスも、王都一と名高いサロンの魔法刺繍も、縫ったのは屋根裏の針子エルシーだった。
けれどその手柄は、いつも義姉ロザリンドの名前で飾られてきた。

いつか自分の名前で店を出す。

それだけを支えに、彼女は針を握り続けてきた。

婚約者と義姉の裏切りを知った三日後、エルシーは王女殿下のドレスに細工をした濡れ衣を着せられ、六年かけて貯めた開店資金ごと家を追い出される。

その雨の夜、路地で行き倒れていたのは、黒手袋の青年だった。
胸元には、命を喰らう漆黒の【呪いの縫い目】が脈打っている。
糸の走る道が視えるのは、エルシーの目だけ。
金色に灯る彼女の糸だけが、その結び目をほどくことができた。

青年の正体は、三年前から呪いに蝕まれ、誰にも触れずに生きてきたアルディス大公ヴィルフリート。

「すべてほどけ。対価は望むままに」
「では、わたしの名前の店をひとつ」

残る結び目は二十七、ひと結びにつき金貨一枚。
裏通りに開いた小さな仕立て屋には、やがて呪われた服が持ち込まれるようになる。
けれど、ほどいたはずの結び目の数が合わない。

糸の向こうで、今も誰かが針を動かしている。

これは、名前を盗まれた針子が、一針ずつ自分の名前を取り戻していく物語。
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