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天蓋の檻~並行国家日本の交渉~

作者:龍乃光輝
最新エピソード掲載日:2026/07/26
新鋭哨戒機PX-2が洋上で発見したのは、世界のどの建艦記録にも存在しない十隻の艦隊だった。

全長五百メートルに及ぶ巨大な空母旗艦。周囲を固める駆逐艦、補給艦、そしてクルーズ船。各艦の艦尾には、見慣れた旭日旗が翻っていた。

所属を問われた艦隊は、自らをこう名乗った。

「日本国防軍、天上自衛隊、第一次恒星間転移派遣隊。旗艦『かが』」

彼らは、かつて日本列島ごと異星へ転移し、そこで半世紀を生き抜いた並行世界の日本人だった。

異星の資源と技術によって発展した彼らは、故郷の地球へ帰還するはずだった。しかし転移の失敗により到達したのは、自分たちの過去によく似た、別の歴史を歩む現代日本だった。

この世界には帰るべき国も、補給を受ける港もない。

元の世界へ帰還するには転移施設を建造しなければならない。すなわち、この世界の国家や企業へ未来と異星の技術を託さなければならないのだ。

だが、社会を根底から変える技術を、世界が黙って見過ごすはずもない。

同じ日本として彼らを支えようとする日本政府。技術と主導権を求めて動き出す大国。国際管理を唱える国連。

二つの日本は、技術を独占することも、無秩序に広めることも許されない状況の中で、帰還への道を探り始める。

これは、武力ではなく交渉によって未来を切り開く、並行国家日本の外交記録。

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