第09話『日日首脳会談』
四月十三日午後八時。
総理官邸の会議室。
天自艦隊の出現と〝てるづき〟による資料の持ち帰りを受け、急遽内閣府主導による対策チームを結成した。
『所属不明艦隊対策班』と命名され、関連省庁から対応できる役職を含む人員が集められた。
まだ現時点では朝の発表程度でしか天自艦隊のことは公表されていないが、対策班は政府が得た情報は全て共有されている。
対策班が情報を纏め、対策を講じ、それを政府に上申して共有してもらうのだ。
同時に天自艦隊より提供を受けた隊員一人のDNAと現職自衛官のDNAの検査を行い、科学的に天自艦隊は未来から来たのかの検証も行う。
史上初にして異例の『並行世界の日本が異星に国土ごと転移し、五十年後の未来から来た』ことを世界に通知するには、どうしても科学的根拠に基づく文字通り完ぺきな理解を経る必要がある。
科学と法が支配する現代で、フィクションそのものを説明するならば避けられない条件だ。
よって、厳重に守られて官邸に運ばれた資料は、すぐさまアナログ媒体とデジタル媒体双方でコピーされ、対策班に配られて確認作業が行われたのだった。
政府発表、公共メディア発表、各企業の情報と、惑星フィリアに転移した西暦二〇一九年四月十一日から、エルテミア歴二百六十一年(西暦二〇七三年相当)までの歴史を厳重な警備の中で確認する。
ちなみに二〇七三年『相当』と言うのは、惑星フィリアの公転周期が四百日のため地球とはズレがあるためだ。
そして少数精鋭で資料の確認が行われている中、佐々木総理も天自艦隊に対して早急にするべき仕事にとりかかろうとしていた。
約五十年分に及ぶ膨大な資料は対策班に任せ、佐々木は総理大臣としてやるべきことがある。
〝てるづき〟が未知の艦隊に出向き、安全の保障がない中で確保してきた資料と艦隊へのアクセス権。
防衛省に調べてもらったところ、既存の通信衛星経由で出来ることが分かっている。二〇一九年から分岐しているとはいえ、同じ日本で自衛隊だ。実質身内同士で通話をするのと同じなため苦慮することはない。
よって〝てるづき〟帰港の当日に会談を行うことにしたのだ。
事前の通告なしだが、いちいち通達をするために天自艦隊に使者を送っては交流に遅れが出る。時間が物を言う事態ならば、向こうもそれを見越しての通信ラインだろう。
総理執務室には昨日〝てるづき〟と行われた同じ暗号通信設備が施されており、誰にも同席をさせず佐々木総理は一人通信回線を開いた。
画面にはコールのマークが点滅する。
出てくれるか心配したが、二十秒ほどすると画面が変わった。
『お待たせして申し訳ありません』
出たのは六十代の日本人だ。アジア系ではない。純粋な日本人と見た瞬間分かった。
「初めまして。日本国、内閣総理大臣の佐々木源五郎です」
『お話できて光栄です。私は日本国、国防軍、天上自衛隊隷下、第一次恒星間転移派遣隊。政治部門代表の新政智一です』
世にも珍しい日本人同士の首脳会談だ。
「アポなしの夜間での通話申し訳ありません」
『謝ることはありません。今日明日にも連絡が来ると思っていましたし、なにより迷惑を掛けているのはこちらなのです。対応しないほうが失礼ですよ』
「恐れ入ります」
『佐々木総理、何をお話ししたいのかは分かっています。我々の来歴、目的と危険性、今後の活動方針。そして我々の保有する技術に関すること、ですね?』
歴史は違えど同じ日本人。そして全権大使を任命されるだけあってこちらの考えることはお見通しのようだ。
ならば会談における建前と本音の使い分けは不要だろう。
「あなた方の来歴に関しては対策班が確認をしています。総理として最初に確認したいのは多くの人が一般的に抱いている、異星から来た存在の侵略の危険性です」
『侵略の意図はないと代表として明言します。元々我々はこの世界に来るつもりはなく、来れることも想定していませんでした』
「その話は伺っています。惑星間転移をした結果、あなた方の地球ではなく我々の地球に時間と共に転移してしまったと」
『そうです。便宜上、私たちの世界のことをB、この世界のことをAと呼びますが、元々はフィリアから地球Bに転移し、相互転移して地球Bに来たフィリアの土地にゲートを建設。フィリアと地球Bを物理的に繋ぐのが私たちの任務でした』
「その任務が果たせない今、天自艦隊は何を目的としますか?」
『総勢三千五百名の隊員の生命と安全を確立しつつ、日本Bまたは地球Bに行く方法を模索します』
「あなた方の方針は分かりました。そこで一つ疑問ですが、三千五百名の人命と十隻からなる艦隊。資金面でも兆を超える金額が動いていると思いますが、転移の実験は幾度としたと思います。それでもこうした時空間を超える結果が起きることはなかったのですか?」
世界は違えど、二〇一九年の日本の延長線であるなら安全性の確保は最優先事項のはずだ。何度も何度も実験を繰り返し、同じ質量を送ってさらに確認し、石橋を叩いて安全を確認するように、万が一にも失敗がありえない状態で送るはずだ。
『もちろんです。お渡しした資料にも記載してありますが、累計で二十回とフィリアから地球Bに送り、今回と同じ質量を五回目的地のポイント・モネに送りましたがすべて成功していました』
「しかし、いざ本番で何らかの作用が働いて地球Aに来てしまった」
『システムログを確認してもエラーはなく、システム上では地球Bのポイント・モネに来ていることになるので原因究明は困難としています』
「分かりました」
最低限確認しなければならない、天自艦隊の方針を知ることは出来た。少なくともこの世界に意図的に仇成す方針はないそうだ。周囲の反応はどうあれだ。
「では次にお聞きしたいのは、天上自衛隊の運営方針ですね。国防軍と付いたと言うことは、あなた方の自衛隊は正式に国軍となっているのですか?」
『はい。これも資料にありますが、私たちの歴史では二〇一五年に憲法を改正して自衛隊を正式に国軍としました。自衛隊の名を残しているのは、国防軍としても本質は自衛隊なのと国内で強く定着しているのがあります』
つまり、陸上自衛隊は日本読みなだけで国際的には陸軍。海自と空自も海軍と空軍と正式に改名したというわけだ。実際国際向けには軍表記だが、それを憲法的に保証したと言うことになる。
「では専守防衛は健在ということですね?」
『はい』
佐々木総理は顔こそ出さないが、内心は驚かされていた。
世界最古にして改定困難な日本国憲法を十年以上前に改正し、発足当時から悩まされていた自衛隊の存在理由を明確に認められたと言うことだ。
歴史が異なるから参考には出来ないが、向こうの世界では改正をするに至る大きな事案があったのだろう。
専守防衛が健在――現在の自衛隊と技術以外違いがないなら法制的にも天自艦隊が武力行動を取ることはあり得ない。政治部を乗せているのがその証左だ。
惑星間転移する都合上、本国とのやり取りはスムーズとは行くまい。であれば現地で政治的判断を下す必要があるから、政治部門を乗せて小さな日本として機能させている。
自衛隊の本質が受け継がれているなら防衛出動もあり、その判断は新政代表を含む政治部がするはずだ。
『端的に申し上げて、行政上の防衛組織と国軍の違い以外その中身に違いはありません。最大の懸念である侵略などの武力攻撃は出来ません。我々が武力を行使するのは自衛権の行使のみです』
これは非公式の秘密会談だから公文書には乗らない。故に言質を取ったからと言って安堵は出来ないが、もっとも頼らなければならない日本を騙すリスクは冒せない。おそらく話しているのは真実だろう。
「承知しました。次に聞きますが、我々日本Aが天自艦隊になにか支援をしますか?」
『……この会談は非公式ですし、建前は不要として話をします。私たちは世界Bに戻るため、この世界にゲートを設置したいです。正式名はペオ・ランサバオン。特殊なエネルギー源から生まれたエネルギーを利用し、相互の空間を入れ替えるようにして転移します』
「ペオ・ランサバオン……」
『ですが、世界だけでなく時間を超える仕様ではないはずなので、建設したところで戻れるかは不明です』
「出来れば確実に支援を、と言いたいところですがこの場で約束は出来ません。ですが支援はしたいと思います」
今ここで支援をする、としても意味のない約束だ。今後天自艦隊と連絡手段を確立させ、条約などで確固たる繋がりを持って支援と表明しないといけない。
事情は分かっているし、する価値はあっても国家規模の話となると段取りはしっかりとしないといけないのだ。
『理解しています。ただ、支援には素直に喜べないのも事実です』
「察します。五十年後の異星の技術が広まった場合のことですね?」
『はい。我々の技術力はこの世界の技術力を上回っています。率直に申し上げて、我々だけでアメリカ軍を一方的に壊滅させるだけの力を持っています。ペオ・ランサバオンのみでもこの世界にパラダイムシフトを起こす技術を持っていますので、果たして伝授するべきか今も悩んでいます』
「……アメリカ軍を一方的に、ですか」
予想はしていた。もし現代の海自が補給ありで第二次大戦時に出向けば無双できるほどの技術格差があることは知っているが、現代のアメリカ軍を天自艦隊十隻、戦闘艦なら六隻で勝てるとはにわかには信じられない。
米海軍の空母艦隊ではなく、アメリカ軍と言うあたり間違いではなのだろう。
『申し訳ありませんが、どうやって一方的に壊滅できるかは申せません。これは防衛機密になりますので』
「ですね。もしそれが事実でアメリカが知ると安保理に掛ける可能性もあるので、今は知らないほうが幸せでしょう」
『……とは言いますが、おそらく技術漏洩は必ず起きるでしょう。情報のコントロールはすることは出来ますが、我々が来たことで順当な技術成長は歪になるのは間違いありません』
新政代表の言う通り、異星で五十年を経験した艦隊が来た時点でこの世界の技術成長は歪になる。
人類が地道に考えて得てきたのではなく、超技術を与えられるのだから予想外の成果が出るのは当然だ。
人類が初飛行を果たしてから数十年で軍事利用されたり、戦争中に開発された物を起点としてすさまじい発展したのと同じように、その数倍から数十倍の革新的変化が起こりうる。
使い方次第では核をも上回る大量虐殺も可能となる技術も生まれるだろう。
同時に疑問が生まれた。
「しかしあなたたちは元々の地球の技術発展を阻害してでも帰る選択をしたのですよね? だとすれば日本Bでも相当議論をしたはず。どうやってまとめたのですか?」
『もちろん私たち側は地球だけでなくフィリアも巻き込むので大総論となりました。技術を地球に渡してどうなるか。地球側から人が来て混沌としたらどうするのか。フィリアの安保理まで上がって騒乱となりました』
「けど、行くことが認められた」
『二つの星をつないだ先の未知なる発展を願ってですね。日本がフィリアに来たことでフィリア社会は五十年で発展しました。フィリアに来たのが日本だったからこそとも言えますが、双方ともに初となる惑星間移動を容易にした数百年、千年後にどのような発展をできるのか。その確認をするためにも我々は地球に戻ることにしました』
「……もしフィリアに悪影響があると判断すれば、あなた方は戻ってゲートも閉ざす……?」
『はい。もし地球の欲がフィリアに悪影響を及ぼすのであれば、多少の技術流出は仕方なしとしてもゲートは破壊して自分たちは戻る予定です。少なくとも地球側からフィリアに行くのは難しいでしょう』
「なるほど」
フィリア人の社会性や性格は分からないが、地球人は全体で欲の皮が突っ張っている。リスクよりリターンを取るし、正攻法よりは不正な利益を求めがちだ。それがフィリアに流れ込めば問題しか起きないだろう。
しかし、それでも希望をもって先遣隊として天自艦隊は来たということだ。
「だとすればあなた方の存在は文字通りイレギュラーですね」
『自覚しています。だからこそ技術提供には意見が割れています』
責任があまりにも大きく、天自艦隊側からすれば無責任になりがちになるからだ。情報提供をしてペオ・ランサバオンを開発し、無事に帰ったとしても技術は地球Aに残る。その後発展か混乱かが起こりうる。しかし帰った天自艦隊に責任能力はなくなるから、この世界がどうなろうと何もできないのだ。
歴史に大変革を投じる身となったとなれば及び腰にもなる。
『佐々木総理、答えにくいこととは思いますが、総理自身は我々の技術はほしいですか?』
非常に答えにくいことを新政代表は訪ねてきた。
『この場は非公式ですし、どう返答しても今後の交流に影響を及ぼすことはありません。ちなみに私は提供するべきと考えています。あくまで個人的な考えですが』
答えにくいことを訪ねたからこそ、新政代表は自分の意見を述べた。
「……ほしいと思います」
先に答えたからこそ、佐々木総理も自分の意見を述べた。
国内外の情勢がどうあれ、未来の技術が手に入れば山積みの問題が解決する糸口になるかもしれないし、緊迫極まる国際情勢に対して日本独自の防衛手段を手に入れられることもあり得る。
自分の代では出来ないだろうが、日本が自分で守れるような舵取りはしたいと思っていた。
天自艦隊の技術を得られることでそれが実現できるなら、困難極まりないだろうがする価値はあるはずだ。
「しかし、どうして代表は提供するべきと?」
『私たちがその体現者だからです。異星に転移して五十年。異星の技術を吸収した日本Bは飛躍的に発展して、転移前に抱いていた問題の多くが改善しました。人口も増え、経済も順調です。フィリアの社会との親和性もありましたが、我々ができたのであれば日本Aもできると思ったからです』
「ふふ、同じ日本から来た側から言われると即否定はできませんね」
普通ならば出来るのか? と疑問を呈すが、目の前にいるのは今より困難な状況に陥っても発展した証人がいるのだ。即否定とはいかない。
『もちろん私たちとあなたたちでは状況がまるで違うので、同じように発展できるとは限りません。ですが出来ると信じたい。転移当時の佐々木総理も、日本人の底力を信じて立ち向かおうと鼓舞したとのことですので』
「そうか、あなた方の世界でも私はいたんでしたね」
『今の歴史の教科書には必ず登場する希代の総理として継がれていますよ』
「……新政代表、あなた方の世界では私はいつ、どのようにして死にましたか?」
同一人物がいる、未来から来たと知ってしまえば聞かずにはいられない質問をする。
七三年となればもう寿命的に生きてはいない。だから佐々木総理は死を前提とした質問をした。
すると新政代表は何とも言えない表情を見せた。
『……いずれ分かることですのでお話ししますが、私たちの世界の佐々木さんは転後六年にテロに巻き込まれて亡くなりました』
「…………」
予想外の返答に佐々木総理は唖然とした。
「テロ、ですか」
『国内ではなく国外勢力によってですが、このテロを契機に日本は様々な変革に取り込むことになり、今の天上自衛隊ができたと言えます』
「よほど大きな事件だったようですね。そのことは資料に?」
『さすがに載せない事案ではありませんので』
「この私とは関係ないとはいえ、結末を聞くと来ますね」
『心情お察しします』
「ひとまず、技術供与に関しては今後の重要課題として取り組みます。今は政治レベルで語れることではありませんので」
『分かりました。そうだ佐々木総理、一つお尋ねしてもよろしいですかな?』
「なんでしょう」
『昨日の我々に対する魚雷攻撃。いえ、潜水艦が近づいてきたことをあなた方は把握していましたね?』
笑顔を見せながら新政ははっきりと刃を突き付けてきた。
「……魚雷ですか? 報告にはあがってませんし、事実だとすれば由々しき事態です」
『はは、さすがに演技が大根役者ですよ。ご心配なく、そのことでなにか非難をするつもりはありません。同じ政治家としてこれは政治的判断だと思っていますので。もちろんカマかけでもなく、一連の判断の流れは把握しています』
よどみない口調と視線。新政代表は予測や憶測ではなく、完全に把握して語っている。
『なんでしたら一昨日の夜、わが艦隊との接触をするため波川海将補たちとやり取りをしていた防犯カメラを見せましょうか? 中国の039型潜水艦が日本の排他的経済水域近辺を航行しているのをセンサーが検知。針路から我々に向かっていることから様子を見ようとしたことも知っています。ただ、魚雷を撃ったのは予想外だったようですが』
新政代表のいう通り、カマかけやはったりではなく正確に一昨日のことを把握して聞いてきている。
確かに新政代表の通り、日本以外の潜水艦らしき移動物が海自の対潜網に引っかかっており、確度は低いが注意をしていた。
監視を続けているとその移動物の針路上に天自艦隊があり、そのことから確認をしに来たと分かった。
通常の手順ならその移動物の正体を暴き、他国の潜水艦なら監視を強めて領海に近づこうものなら護衛艦を出して侵入させないようにする。
だが、針路上に天自艦隊があると話は変わり、対応をどうするかを考えた。
波川海将補らと議論した結果、その移動物は文字通り泳がせることにした。これには三つの理由がある。
一つ目は不確実で確度が低いこと。二つ目は天自艦隊の察知、対応力を見ること。三つ目がある意味重要な能力を天自艦隊が持っているのかを探るためだ。
まさか魚雷を発射するとは思わなかったが、おかげで天自艦隊の防衛能力を知ることができた。ちなみに佐々木総理が魚雷攻撃の一報を受けたのは波川海将補との通話を終えた二時間後である。
海将補とのやり取りで話をしなかったのは三つ目の理由を考えての配慮だろう。
そして三つ目の理由を今確信することができた。
「……さすが未来の異星から来たとありますね」
口には出さないが暗に肯定を示唆する。
『中国にしろアメリカにしろ、やはり我々の能力を知ろうと動き出しています。そしてあなた方日本も』
「差別的に聞こえるかもしれませんが、未来の異星から来たとなれば手ぶらで歓迎とはいきません。情報戦はどの時代、どの世界でも価値観は同じと思っています」
『ええ、転後ではその情報戦のオンパレードでした』
「そしてあなた方は、おそらくこの世界に於いて最強の情報収集能力を手に入れた」
『っ……なるほど、貴方は私たちの世界の佐々木元総理同様策士のようですね』
どうやら新政代表はいま感づいたようだ。
日本側がもっとも気にするのは兵器の水準ではなく、情報戦の水準である。
古今東西未来問わず、情報がなにより重要だ。情報の前にはどんな有能な兵器も人材もかなわないほど、情報一つに億単位の金額を出しても惜しくないことはある。
そして五十年後にして異星から来た天自艦隊の情報戦がいかようなのかを、天自艦隊に悟られずに調べる必要がある。
一九七〇年代と二〇二〇年代で抜本的に機器の水準が違うように、二〇年代と七〇年代ではまた大きく違うだろう。もし量子コンピューターを二世代三世代と上回るコンピューターがあり、現代のセキュリティがあってないようなら重大な懸念となる。
それを探るため、天自艦隊に近づく移動物を敢えて把握しておきながら泳がせ、天自艦隊がどう反応するかを探ったのだ。
その結果、天自艦隊は現代の地球のセキュリティを、ほぼ無視できるレベルで侵入できることが確認できた。
「不快に思うかもしれませんが、この点を事前に知っているか否かで天自艦隊との対応を考えなければなりませんので」
『いえ、理解します。知られてしまっては白状しますが、我々にとって現代日本のセキュリティはあってないようなもので、最悪日本経済を破壊することもできます』
「でもすることはない。意味がありませんから」
『支援をお願いする国の経済を破壊しても意味ありませんし、脅しに使うのは日本的ではないでしょう? するなら義理人情のように堂々とお願いしますし、対価を払います』
けじめと筋はしっかりと通すということだ。
「やはりあなたは日本人だ。それだけでそんな能力を持っていても安心できます」
『ありがとうございます。何度も言いますが、私たちはこの世界を壊すつもりは微塵もありません。ある意味核を上回る能力を持とうと、最終手段ですらありませんので安心してください。そして、この件は墓までもっていくようお願いします』
「心得てます」
もしこの情報が洩れれば、全世界が天自艦隊を壊滅と能力奪取に全戦力を投入するだろう。
悪用すれば文字通り世界征服することができるからだ。
ならば天自艦隊だけで〝アメリカ軍〟を壊滅できる説明になる。
『佐々木総理、おそらく近々私たちのことを公表すると思います。それについてある程度情報共有をしたいと思いますが構いませんか?』
「もちろんです。前代未聞の公表ですので足並みは揃えたいと思っていました。
ひとまず知りたいこと、確認するべきことは出来たため、次に現実的なやり取りを始めた。
早ければ明日にも正式な会見時間を設けて説明をすることになる。後に齟齬が出て問題が起きないように、何を伝え何を伏せるべきか、現在精査している資料の公開とその方法を含め、佐々木総理と新政代表は会談を続けた。
今年の投稿は以上となります。
来年もまたよろしくお願いします。
みなさま、よいお年を。




