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三日月書店、本からのお客様。――利益は一切ございません。

作者:もちむぎ
最新エピソード掲載日:2026/10/20
三日月書店、午後九時。
店員が帰り、照明が消えた店内に、本好きの藤井と元書店員の佐伯が現れる。

静かに読書を楽しむはずの夜。けれど、本棚の向こうから訪れるのは、ひと癖あるお客様ばかり。

「逆ハーレムなんて、お断りですわ」
「私の推理に穴があるのではない。作者が間違えたのだ!」
「私、イタリアン風肉じゃがです」

恋する令嬢、怒れる名探偵、分量を訂正してほしい料理まで。本から抜け出した彼らの悩みに、二人はページをめくりながら付き合っていく。

「接客中でーす」
「俺、客だし」

笑って、ときどき胸が温かくなる、閉店後の書店の日常。
ただ、二人にも思い出せないことがある。
なぜ自分たちは、この店の夜にいるのだろう。

利益は一切ございません。今夜も、本から客が来る。
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