裏通りの娘は、二度と跪かない ~継妃グリゼルダside~
最終エピソード掲載日:2026/07/18
ザイデルン帝国の裏通り。娼婦の母のもとに生まれたグリゼルダには、名前すらなかった。日々奪われる魔力、理由のない暴力。七つの年、生まれつきの"魅了"の力に目覚めるが、それは救いではなく、新たな搾取の理由になっただけだった。
十の年、抑えきれない憎悪から力を暴走させたその夜、「処分しろ」という指示と共に、一人の少年が送り込まれてくる。殺される――そう覚悟した瞬間、彼は代わりに、名前をくれた。
「殺されたくなければ、殺す側にまわるしかない」
その日から、グリゼルダは戦略室の道具になった。拒否権はない。人を殺し、心を操り、生き延びるための術だけを叩き込まれる。それでも彼女がすがったのは、たった一つの事実だった――イレブンにだけは、魅了が効かない。だから彼の言葉だけは、魅了で歪められていない、彼自身の本心だと信じられる。
だが、道具に人並みの幸福は許されない。二人で逃げようとした夜、計画は露見し、イレブンは捕らえられる。彼の命は、遅効性の毒と引き換えの人質になった。それ以来、グリゼルダの人生は、彼を生かし続けるためだけの任務の連続になる。
王太子を篭絡し、敵国の宮廷に潜り込んだ継妃グリゼルダ――本編『敵国に嫁いだ長女は振り返らない』で描かれた"ただの悪女"の所業は、すべて、たった一人を生かすための代償だった。
命令に従うことでしか、愛する者を守れない。そんな檻の中で、グリゼルダは何を選び、何を捨て、そして最後に、何を手に入れるのか。
これは、断罪される悪女の裏側で綴られる、もう一つの物語。
裏通りの娘は、二度と跪かない。
十の年、抑えきれない憎悪から力を暴走させたその夜、「処分しろ」という指示と共に、一人の少年が送り込まれてくる。殺される――そう覚悟した瞬間、彼は代わりに、名前をくれた。
「殺されたくなければ、殺す側にまわるしかない」
その日から、グリゼルダは戦略室の道具になった。拒否権はない。人を殺し、心を操り、生き延びるための術だけを叩き込まれる。それでも彼女がすがったのは、たった一つの事実だった――イレブンにだけは、魅了が効かない。だから彼の言葉だけは、魅了で歪められていない、彼自身の本心だと信じられる。
だが、道具に人並みの幸福は許されない。二人で逃げようとした夜、計画は露見し、イレブンは捕らえられる。彼の命は、遅効性の毒と引き換えの人質になった。それ以来、グリゼルダの人生は、彼を生かし続けるためだけの任務の連続になる。
王太子を篭絡し、敵国の宮廷に潜り込んだ継妃グリゼルダ――本編『敵国に嫁いだ長女は振り返らない』で描かれた"ただの悪女"の所業は、すべて、たった一人を生かすための代償だった。
命令に従うことでしか、愛する者を守れない。そんな檻の中で、グリゼルダは何を選び、何を捨て、そして最後に、何を手に入れるのか。
これは、断罪される悪女の裏側で綴られる、もう一つの物語。
裏通りの娘は、二度と跪かない。
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